7-2. おまけ2

~~ 2-7. 儂じゃよ? ~~


【グーグルブック訴訟】

 現世のUSで。

 グーグルブックスという、書籍のが争われた事件があります。

 (Authors Guild v.s. Google)

 結局、グーグルの勝訴で、『フェアユース』とされています。


 参考URL:

 https://masudalaw.wordpress.com/2016/05/04/google-books-2nd-cir-decision/



【フェアユース】

 ここ、うかつに触れると、本当に、大やけど必至です。

 なので、キーワードだけ、少しだけ挙げておきます。


・USのような包括的フェアユース規定は、現行の所、日本には無い。

・日本においては、32条で「引用」が合法になっている。しかし、要約引用の可否等の論点がある。

・日本においては、スニペットについても、別途、権利制限規定(この行為については例外的にセーフよ規定)がある。

・要は、日本は個別に「これはセーフ!」っていう条文をたくさん立てている。

 (47条シリーズなんか、凄まじいぜ……?)


 ……これぐらいにしておきましょう。(吐血)


 正直な所、日本の引用32条だけでも、凄まじい大論点です。


 フェアユースを判断する時の4要素(特に、変容性トランスフォーマティブと市場代替性)とか、「日本にもフェアユース導入しようよ話」とかも、やりだすと大変なことになります。


 なので今回は、「こんなものがあるよー」な紹介まで。


 なお。


 下調べしていて、「なにぃー! これがフェアユースだとー!」

 とびっくりした例をご紹介。


 https://www.youtube.com/intl/ja/yt/about/copyright/fair-use/

 https://www.youtube.com/intl/ja/yt/about/copyright/fair-use/


 日本人の感覚だと、「これ……がっつりアウトじゃね?」って思う方もいらっしゃるのではないかと。


(憶測レベルですけど、アメリカは「批判」とか「風刺」とか、そういう言論の自由を重視してるんでしょうなぁ……と)




~~ 3-3. 不気味の谷を越えて ~~

【著作権と原盤権】

 財産的な著作権(複製権、翻案権、等)の他に、「著作隣接権」という権利があります。(なんか、強い必殺技みたいな名前だな……)


 「実演家」

 「レコード製作者」

 「映画製作者」

 

 なんかが持つ権利ですね。


 例えば。


 ニコニコ動画は、音楽著作権管理団体であるJASRACやNexTone等と許諾契約してますから、そこの管理楽曲の利用はOKになっています。


 た だ し !


 それは、曲の「著作権」の話。

 つまり、自分で弾く、歌うとかがOKになっているだけ。


 原 盤 に つ い て は 、 話 は 別 !

 

 CD音源なんかを使おうとすると、レコード製作者が持つ、いわゆる「原盤権」もクリアしないといけなくなるわけです。


 実際、ニコニコ動画の、「音楽著作物及び音楽原盤の利用に関するガイドライン」なんかですと、「自身での演奏」と、「原盤利用」とが、条件を分けて書いてある、という寸法になってます。


 音楽を使った動画をアップする場合は、ここの違い、本当に要注意です。



~~ 3-6. VMCAはすばらしい ~~

【嘘松によるDMCA削除申請問題】

 2017年6月ぐらいに、こんな話が。


(参考URL)

 http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1706/07/news103.html


 任天堂から許可有りでゲーム実況動画を投稿。

  ↓

 任天堂以外の嘘松が削除申請を出してきた!

  ↓

 異議申し立てしないと、広告収入を嘘松が持っていく!


 9ヶ月程経ちましたが、今はどうなってるんでしょうね?

(その後の進展を追えていません。ご存知の方は教えて頂けると有り難いです)




【引用32条(現世の日本)】

 適法引用でセーフになるための条件(要件)ですが。


 パロディ・モンタージュ事件判決が示した2要件

(主従関係、明瞭区別性)

  ↓

 条文32条に即した要件にすべきじゃね? 

(公表された著作物、引用して利用、公正な慣行に合致、引用の目的上正当な範囲内)

  ↓

 新2要件説だのなんだの。(学者さんがいろんなこと言ってる)


 えっと……。

 どう整理すれば?


 といった現状。


 まぁ……。


・引用の目的の正当性(批評目的とか)

・主従関係(引用がメインを張っちゃダメ)

・本文と引用箇所とが明瞭に区別できること(引用箇所を『』でくくるとか)

 

 あたりが、実際のポイントですかねぇ。


 とある場所で、講義を受けて来たことがあるのです。

 例えばユーチューバーの【ドラ○もんの人形を買ってきたので紹介する】動画は、32条でいうと適法引用なのか? みたいな事も、先生はおっしゃっておられました。


「いやこれ、ユーチューバーがドラえもんの人形作ったわけじゃないのは、普通に考えてわかりますよね? とすると、明瞭区別性については、あるって解釈してあげないと、社会実情に沿わないのでは?」

 みたいな事を、真面目に数時間、延々とやってるわけです。


 すごくわかりやすい例は、これですかね。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1802/05/news109.html

 京大の入学式での、総長の式辞が、ちょっと騒がれましたが、

 JASRACの理事長さんが、「適法な引用と判断している」とのことです。



 なお、私見では。

 32条の適法引用には、たくさん要件が挙がっているけれど。


 『引用の目的が正当であること』が肝かなぁって思ってます。


 だってさ? 引用の目的が正当なら、自然と注意払うでしょ? 「ここからここが引用よー(明瞭区別性)」とか、「あくまで、俺の書くほうがメインだぜ(主従関係)」とか、そういうのにも。

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