7発:よーく確認してから実行してネ

「まずは、“”に行くのデス!」


 散々、俺の腹を殴ってスッキリしたのか、幼女神ロリがみの機嫌は多少、よくなっている模様もよう

 少なくとも、普通に話すことができるくらいまでには。


 にしても、だ――

 はじまりの街、ってなんだ?


「えーと、ロリが……いや、んー、なんて呼べばいいのか…ハートちゃん、でいいか?」


「ハートちゃん、云うな!」


「あっ、けじゃ、やっぱダメでしたぁ?」


「至極の創造主にして至高の神、鎗田羽音やりだはあとつかまえて、付けとは何事なにごとデスかァーッ!!」


「…ぁあ、ゴメン。

 でも、ほらっ!ハート様、って呼ぶと、なんというか…デブっぽいっつーか、ブタっぽいっつーか、短気そうっつーか…どこぞの拳法殺しっぽくて、イヤじゃない?」


「ハート、って呼びやがれぇーデス!」


「ぉ、おう…」


 ハートちゃん様、って。

 ちゃん付けされてーのか、様付けされてーのか、選べって話だ。

 まったく、傲慢なロリだぜ。


「ところで、はじまりの街、ってナニ?」


颯汰そうたさん、あなた、はじまりの街も知らないのデスかぁ~?」


「あ、はい。ちょっと説明を…」


「はじまりの街は、まさにそのままの意味デス。

 転生したら最初に訪れる街のことで、初期装備をそろえたり、職業の斡旋あっせんを受けたり、ぜにっこ稼いだり、この世界の塩梅あんばいうかがったり、と大変ありがてぇ~街なのデス。

 なにせ超越界プレーローマレベル『ゼロ』からのスタートなんで、超初心者向けのスタート地点からじゃねーと、すぐにンじまいやがるデス」


「…なんか、RPG丸出しだなぁ…」


「ちゃんとした手続きを踏んだ転生魔術であれば、その世界に形で転生されるんデス。

 両親や友人、知人がいて、はじまりの街からのスタート、しかも、チュートリアルやガイドも約束されてやがるんデス。

 ただ、今回は急拵きゅうごしらえの即席インスタント魔術マジックだったんで、そーゆー親切設定、ねぇーのデス」


「うわ~、なんかハード設定だなァ!難易度、高過ぎじゃね?」


「にゅふふっ、その点はねーのデスよ」


「え?なにか手を打っている、とか?」


「にゅふふぅ~♪ゴッホを見てみるのデス!」


「あ?コレ?」


 ゴッホとかいうスマホ的なモノを覗き込むと、そこには『E』の文字が浮かび上がっている。


「ん?Eって文字が出てるよ?」


「そぅ!そぉーなのデス!はEasyモードを意味しているのデス!

 超簡単、イージーモード!ダレでも簡単に、確実にクリアできる超初心者向け、異世界転生楽々人生を謳歌おうかできる勝利確定ルートなのデス!

 どぅデスかぁ~?あたしって超神チョーかみって感じじゃないデスかァ~♪」


「ン?んんっ??いや、ちょっと待って…なんか隣に小さく『x』の文字もあるけど?」


「え゛っ!?『E』じゃなくて、『Ex』って表示されるんデスか???」


「うん、Exだね、コレ」


「はうあっ!そっ、はEasyじゃなくて、Extra…

 ま、まずい、ひじょーにマズいデスねぇ~……は超難度、エクストラモード。ハード、ベリーハード攻略者がヒク程ムズい、超難関ステージ…

 うーーん………間違っちゃった♡てへぺろっ♪」


「おいおいおいッ!」


 勘弁してくれよ、幼女神ロリがみさんよ~。

 たまたま、コイツ掴んで一緒に引きずって転生しちまったが、もし、一人で転生してたら、その超難度設定に、たった独りで挑まなきゃならんかったのかよ!

 俺にとってみれば、元いた現実世界リアルガチさえ、エクストラモードだったんだぜ?

 転生してまで、ひきニートじゃ、お話になんねーよ!


「ま、仕方ないデスね。エクストラモードはなかなかスリル満点デスけど、考えてたってしょーがないので、さっさとはじまりの街に行くデスよー」


「えっ!?今から??」


「そうデスよ~、今すぐに、デスよ!」


「ちょっ…ちょっと待ってくれよ!俺、こんな格好だぜ?

 おっさんがワケ分からん異世界の女装コスプレして、しかも、さっきパンツ洗っちまってんだぜ?

 さすがにマズイだろ!ファンタジックな世界とは云え、あきらかに不審者過ぎんだろ」


「別にいいじゃないデスか。あたし、もう、そのド変態丸出しの姿、見慣れたから全然気にならないデスよ。気にしたら負け、、なのデス」


「違うちがう!ハートちゃん様が気になるならない、の話じゃあなく、街の治安的っつーか、法的に、アウトの可能性があるだろ、って話。

 はじまりの街に行った途端とたん、警察みてーなのにとっ捕まって、そのままゲームオーバーじゃ、前の世界とほぼ変わらねーじゃね~か」


「ああっ!なるほどぉ~、颯汰そうたさん、してる割に、けっこー、頭いいデスね~?」


「おぃ!そんな格好、って云ってんじゃねーか!」


「そりゃ、まぁ、明らかに、頭おっかしぃーデスからねぇ~」


「だーかーらー、すぐにはじまりの街に行くのはダメだ、っつーの。

 どっかで服みつけて、着替えねーと」


「にゅふっ。いやいや、颯汰そうたさん。あなたが手にしている

 ゴッホがあるじゃないデスかぁ~」


「オッ!!まさか、でなんとかなるのかァ!?」


「にゅふふ~、その、ま・さ・か、なのデスよぉ~」


「おおっ!!!」


「さぁ、今から云うアプリをタップするのデス!」


「よっしゃ!行くぜッ!!」

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