2発:腹筋を鍛えておけば(腹パンが)多い日も安心

「ナニさらしとンじゃいッ、ワレーッッッ!!!

 うりゃーっ(棒!」


 ――グッぼぐぉん!


「ほげぇぇぇーーーっ」


 ステップインした低い状態からガゼルパンチを思わすような強烈な幼女のジョルトブローが鳩尾みぞおちを襲う。

 うぼぉぉぉぁああ――

 いでぇ~、すっげー、いてぇ~~~。

 低い位置から的確に打ち抜かれたブローに体をくの字に前傾。

 前屈みとなった為にプリケツがキュッと持ち上がり、

 ――プゥ~~~スッ!

 …あ゛っ!

 出た。


 それにしてもこの幼女、いいパンチ、持ってやがる!

 コイツなら世界をれる。

 ボクシングで王者チャンピオンになれる。

 俺と一緒に世界を目指さないか?

 もっとも、俺は世界を知らねーが。


「ぃいってぇぇぇーーっ!い、いきなり殴ることないだろぉー!」


「いきなりきったない、ぶっかけてきたのはてめぇー様のほうデス」


「…ぁあー……しゅ、しゅみましぇんでしゅた」


 その小さな拳を握り締め威嚇しつつ、

「さっさと、その粗末な、しまうのデス」


「ヒッ、ひゃい!」


 殴られた腹をさすりながら、縞パンに我がジュニアを収納。

 うーむ――

 しっかし、とんでもないところを見られた挙げ句、なんてグッドタイミング、いや、バッドタイミングで入ってくんだよ、この幼女は。

 ――でも。

 これって、いい機会なのでは?

 何せ、ココがドコで何なのか、サッパリ分からんのだから、この幼女に尋ねるのがベターなんじゃあないのか?

 おお!

 俺、冴えてるぅ~!

 さすが、賢者モードの俺はひと味違う。


「えーと……ちょっと尋ねたいんだけど、ここって一体ドコなんでしょ?」


「――ここは、生と死の狭間はざま、ありとあらゆる世界への分岐点、迷える魂の憩いの地にしてターミナル駅、通称“シロ”、デス」


「精子のはざま?溜まった液?道の駅みたいなもん?」


「……、デスかね~?」


「それで幼女……じゃなかった、君は?」


「あたしの名は、鎗田羽音やりだはあと。西の方では、ヤルダバオトって呼ばれてるのデス」


 ハート?

 まったく、なんちゅ~DQNドキュンネームつけとんねん、こいつの親は。

 しょーもなッ!


「俺は、護居颯汰ごいそうた。よろしく~。

 ――ところで、君はココで何を?」


「あたしは、迷える魂を救い、いざなってるのデス。

 普通、死者は、善人であれば天国へ、悪人であれば地獄へ、自動処理ランダム転送されるんだけど、生前、酷く悔いを残して死んじゃった者は、在婁魂アルコーンによって救済措置があって、別世界への転生処理がなされるのデス。

 大体は、一般の在婁魂アルコーンが応対してるんだけど、あまりにもワールドクラスの善悪つきがたい悔いのある者には、グレイトでマーベラスつ至高の存在たるあたし自ら判決を下しているのデス」


「――ちょっと云ってるか分からないんですけど…」


「…えっとデスね~、ふつーにおっんだ人は適当ランダムに天国か地獄に行くんだけど、が凄い連中れんちゅう担当アルコーンが面接してに転生、特にすげぇ~はトップのあたしが直接、面倒見るのデス。

 あたしは創造主デミウルゴス超越的存在ごいすーなのデス」


「……丁寧に説明してくれてんのは分かるし、何かを伝えようとしてるのも分かるんだけど…

 しかし…

 まったく、分からン!!!」


「!?あー、もう、コレだからバカは嫌いなのデスっ!

 特に日本人は宗教観念乏しい上、神経質な現実主義者が多いので説明がめんどーなのデス!」


「アレ?君、日本人じゃないの?日本語話してるから、てっきり日本人かと…

 そーいえば、髪の色ピンクとか、だいぶ、感じになってるけど」


「うりゃーっ(棒!」


 幼女は振りかぶってパンチを繰り出す。

 痛みの落ち着いてきた俺の腹に、再び幼女の拳が突き刺さる。

 ぐえぇぇぇ~~~――

 胃液、出そう。

 だーかーらー、腹を殴るなって!

 このセーラー、着丈短くてヘソ丸出しだから、グーパンが直接腹に入ると痛いッス。


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ~っ!なんで、殴るのっ!?

 暴力反対ッ!暴力反対ッ!暴力、ダメ、絶対ッ!」


「あたしをナメたら許さないのデス!

 あたしは偉いのデス!」


「いやいや、だから、君は何者なにもんなのよ?」


「あたしは、“”、なのデス!」


「はぁ~?」


「はぁい~」


「…なんか、悪いもんでも喰った?」


「喰ってないデス」


「…自分で自分のことを神様なんて云う神様、いないよ?」


のデス」


「一ついいかい?もし、君が神様だったら、俺も神様かも知れない」


「え?えっ!?そうなんデスか?」


「うん!と云うワケで、俺も、、ね」


「ンなワケありえねぇーのデス!調子に乗ンなッ、このボケカス!なのデス!!!

 うりゃーっ(棒!」


 幼女の腰が入った拳が三度みたび、俺のボディーをえぐる。

 ――ズピッ!

 ビックリして鼻水出た。

 腹へのダメージは、蓄積され、後になって響く。

 よし、決めた!

 これから俺は、腹筋を鍛えよう、そうしよう。


 腹筋の重要性、腹筋の重要性、腹筋の重要性。


 ――『幼女の腹パンから学ぶ腹筋の重要性』。

 よし、家に帰ったら、この論文、書こう、、、



 ンな、わきゃねぇーだろ!

 どーでもいいが、ココは一体ドコなんだよ!

 んで、このロリは何なんだよー!


 誰か教えて、エロい人――

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