夜空君、秘密って何!?



「何がいいの?」


夜空君にそう言われて、自分の心の声が漏れていたことに気が付いた。


「い、いや。何でもないよ?ただ、心の声が漏れちゃっただけ。」

「そう?ならいいんだけど。」


危ない危ない。

追及されたら困るところだった……

あ!!そうだ!!

夜空君に聞かなくちゃいけないことがあったんだ!!


「夜空君!」

「何?」

「何で教えてくれなかったの!?」

「……何を?」


そう言う夜空君の声はとぼけている様子……もなく、いたって真剣だった。


「いや、アルバムの話だよ。曲出すなら言ってくれればよかったのに……」

「別に教える必要な……いや、あったんだった。」


夜空君はそう言うと、何かぶつぶつ呟きながら考えている。

……真剣に何かを考える夜空君の顔……かっこいいなぁ……






…………って、危ない!

危うく魅了状態になるところだった!!

完全なる不意打ち……恐るべし、夜空君。


「よし、きーめた。千雪、今度のアルバムなんだけど……」

「う、うん。」


やっと、やっと本人からの情報が……?


「やっぱり秘密で☆」


その言葉にわたしは思わずずっこけそうになる。


「結局秘密なんかい!!」

「でもまあ、これくらいは言ってもいいかな?『今回のアルバムは、星空深夜としての分岐点となると思う』」

「え?それって……」

「これ以上はネタバレになっちゃうから。」


むぅ……気になる……


「まあいいや。買って聴くから。」

「あ、それなんだけどね、千雪は買わないでほしいんだ。」

「え!!?なんで!!?」


もしかして、わたしまたなんかやらかした!?


「あ、千雪は何もしてないから安心していいよ。」

「そうなんだ。良かった……って!いまさらっと心読まれた!?」

「千雪すぐ顔に出るから。で、買わないでほしい理由は、僕が直接千雪にプレゼントするからだよ。はい拍手!」

「え?ああ、そうだよね。夜空君ならアルバムも何枚かもらうよね。」

「うん。そゆこと。」


そうだった……夜空君、前に『余ってて困る』的なことを言っていた……気がする。

じゃあ、ここはお言葉に甘えて……


「うん!じゃあもらっちゃおうかな!」

「ありがとう。って、あげる側の人が言うのもおかしいか。あ、あと、たぶん発売日より早く渡せるから。」


夜空君はそう言うと、少しその表情を綻ばせる。


「え!?本当に!?なんか少しズルした気分……」

「同居人の特権だと思っておいてよ。」


そうは言われてもなぁ……普通に発売日まで待つファンのほうが多いのに……


「あ、そういえば、僕今日用事あるから、昼食の後出かけるね。」

「用事?わかった。でも、忘れそうだからまたあとで言ってね。」

「わかった。あ、そこのスーパーに寄ろうか。」


スーパーが見えてきたら急にお腹がすいてきたのは何故だろう……

ああ、今日のご飯は何だろーなー。

夜空君の作るご飯は美味しいんだよね。


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