夜空君、教えてくれてもよかったよね?
「おはよー、千雪。」
わたしが教室に入ると、数少ない友達の
相変わらず長くてサラサラの髪してるなぁ……
夏休みに恵果ちゃんの家にお邪魔するって選択肢がなかったのは、恵果ちゃんが夏休みの間は海外に行くって言っていたから。けっして、忘れていたわけじゃないからね?お母さんのアドバイスの手紙のせいでまともな心情じゃなかったのは確かなんだけど……
「うん。おはよ。」
「え?どうしたの?テンション低くない?」
「うん、ちょっと考えなくちゃいけないことができて……」
夜空君のあの言葉の真意。すごく気になる……
「あ、深星くんのせいでしょ?よくそんな恋心が持つねぇ……」
「恵果が持たなすぎるんだよ……」
「ほらほら、もっとテンション上げないと!せっかく『星空深夜』様がニューアルバムを出すって発表したんだから。」
「え?」
何も聞いてない!なんで!?
夜空君!?教えてくれなかったの!?
「なになに!?どんなアルバム!?」
「お、やっぱり喰いついた。さすが千雪。でも残念。発売日と値段しか発表されていません!」
恵果ちゃんはそう言うと、どや顔でスマホの画面を出してくる。
これは『星空深夜』のブログ。
あ、本当だ!新アルバムの情報がある!けど……
「え?」
「ね、面白いことするでしょ?」
「うん。だけどこれは売る店舗とかも困るんじゃないかなぁ?」
「まあ、『星空深夜』だったらこれでも十分売れるでしょ?」
まあ、確かにそうなんだけど……
どうしても、これはびっくりせざるを得ない。
だって、本当に発売日と値段ぐらいしかわからないんだもん。
「凄いよね。アルバム名も、曲の中身も、ジャケットすらわからないんだもん……千雪もびっくりでしょ?」
「うん。前回のアルバムだしてからまだ一年も……いや、半年くらいしか経ってないよね?
〈ふゆのそらのひ〉とかシングルの曲は入るだろうけど、それだってまだ売られてから全然経ってないでしょ?」
「うん。だからこそ、どうしてこの時期に出すのか謎なんだよねぇ。結局前回のアルバムのときにライブしてないし。いやぁ、あの人は本当に謎だよね。他の歌手とは考え方が違うよ。」
謎……
そういえば、夜空君の今日の感じも謎だったよね。
やっぱり同一人物なんだなと何故か納得してしまう。
「ねえ、千雪はどんな曲が収録されると思う?」
「ええ、わからないよ。でも、前回のアルバムが〈石ころの恋〉だったから、ラブソングは少なめじゃないかな?」
「あ、やっぱりそう思う?でも、その裏をついてきそうでもあるんだよね。」
「確かに、よくわからないよね。」
うん。後で本人に聞いてみようかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます