第3話親御さんの優しさに困ってる
サエラがチームに加わって今までよりも依頼が楽になり、ノア、サエラともにCランクまであまり苦労することなく上がることが出来た。そこから少し苦労したがBランクに上がることが出来た。これにより、ランクBの依頼が受けれるようになった。
「今日からBランクの依頼を受けれるようになったけど、どんな依頼があるの?」
ユキノと同じBランクの依頼を受けることが目標たったがどういう依頼をするのかノアはまだ知らなかった。
「そうねぇ、基本的には今までと同じで近隣に生息しているモンスターを討伐するんだけど、今までよりも強いモンスターと戦うことになるわね」
「へぇー、そうなんですか。他には何かあるんですか?」
サエラが尋ねた。
「あとは偉い人が、ほかの街へ行く時の身辺警護とか、近隣に危険指定モンスターが出た時にそのモンスターの討伐チームに加わったりするのよ」
さすがBランク、今までよりも大変そうな依頼ばっかりだ。
「さぁ、初めてのBランクの依頼を受けるけどなにがいい?」
「最初だし、あんまり苦労しなさそうなのがいいな。サエラはどう?」
「私も初めっから危ないことやるより、Bランクの依頼に慣れれるように、徐々に難易度を上げて行くほうがいいと思います。」
2人とも同じ考えだった。初めから危ない依頼を受けて、大きな怪我をして動けないなんて事になったら、チームに迷惑がかかるからな。
「じゃあ、これはどう?近くの湖でモンスターが巣を作っていて、危なくて湖に近づけなくなってるらしいの」
「うーん、それなら大丈夫かな?」
「私もこれなら行けると思います」
ノアとサエラ、両方とも賛成した。
「じゃあ受付で受注してくるわね」
ユキノが受注を済ませ、ノアとサエラの元へ帰ってきた。
「それじゃあ、湖へレッツゴー!」
「なんかテンション高いな」
こうして3人は湖へ馬車に乗って向かって行った。
◇
「ここが依頼にあった湖か。見たところモンスターは見当たらないけど」
「おかしいわね、確かにここ出会ってるはずなんだけど」
辺りを見渡してもモンスターの影ひとつない。
「いったいどこにいるんでしょうか?」
そう言いサエラが湖に近ずいて行くと、
ゴボッ ゴボボ ゴボボボボボ バシャァァァン
なんと、湖の中から魚のようなモンスターが飛び出してきた。
「キャアッ!」
「あれはっ!デビルフイッシュっ!」
デビルフィッシュとは牙や爪が鋭い半魚人で、ひっかいたり、噛み付いたりしてくるほかに、口から超音波を出して攻撃してくる。
「サエラ急いでその場から逃げろっ!」
「は...はいっ、わかりました」
サエラは走ってこちら側に逃げてきた。
すると、デビルフィッシュがゾロゾロと湖から出てきて。サエラがを追うようにこちらへ向かってきた。
「右側の五体は俺に任せて。反対の四体は二人に頼んだ。」
「わかったわ」 「わかりました」
そして、戦闘が始まった。
「おりゃっ!はあぁっ!」
ノアはデビルフイッシュを次々倒していく中、ある1体がユキノ達に向かって大きく口を開いるのに気がついた。
「まずいっ!超音波攻撃だっ!2人とも一旦逃げろっ!」
ノアは2人にそう指示をした。しかし、気づくのが遅かった。このままでは2人に当たってしまう。
「こうなったら、アレをやるしかない!」
ノアは二人の元へと急いで向かった。
キュオォォォォン.....ギャァァァァァァァ
デビルフイッシュが超音波放った。
「はっ!サエラちゃん避けてっ!」
「させるかぁぁぁぁぁっ!『模倣する
ノアの左目がひかり、超音波を吸収した。
「ふぅ、なんとか間に合った。」
「ノアさん.... 今のって....」
「説明は後でな、とりあえず残りを倒そう」
そして、ノア達はデビルフイッシュを全て倒し、ギルドに報告をするため、町に帰った。
途中、馬車の中で戦闘中ノアが使った魔法のことをサエラに話した。
「実はな俺があの時使った魔法は俺だけが使える無属性魔法なんだ」
「エエェェェっ!!ノアさん無属性魔法使えるんですかっ!」
「しーっ、声が大きいよ。」
「あっ、すみません」
サエラが大きな声で叫んだので、ノアは急いで注意した。
「私も初めて聞いた時はとてもびっくりしたのよ」
「ノアさんが無属性魔法使えるなんてきいてませんでしたよ」
「あれ?言ってなかったっけ?」
今までサエラと一緒に依頼を受けてきたが、ノアは魔法を1度も使ったことが無かった。
「ノアさんの魔法はどんな能力なんですか?」
「俺の魔法は相手の魔法を吸収して、そのまま自分の魔法にできるんだ。いわゆるコピー能力ってやつだ」
ノアが魔法の説明をし、サエラの方を見ると
「それ、凄すぎませんか!相手の魔法を吸収するだけでなく、その魔法をコピーするなんて」
「ふふーん、凄いでしょ」
ユキノが誇らしげに言った。
「それで、サエラに頼みがあるんだけど、この魔法のことは誰にも言わないでくれないか?」
「ええ、それは構いませんがなぜなんですか?」
ノアはギルドの受付嬢から聞いた話をサエラに話した。
「無属性魔法ってのは国でとても重宝してるらしくて、国に申請すれば色んなものを安く買えたり、色々と楽になるんだけど、大規模討伐の時は強制の出頭要請が来るらしいんだ」
「そうなったら、姉ちゃんと離れ離れになってしまう、それが嫌で受付嬢の人にもお願いして内緒にしてるんだ」
ノアは心の内を全て話した。
「そうだったんですか。わかりました!私この事絶対誰にも言いません!」
「ありがとうな」
サエラは優しいからそう言ってくれると思っていた。
そんなことを思っているうちに遠くに町が見えてきた。
「あっ、もう見えてきましたよ」
「ホントだな」
そのままノア達は町へ入り、ギルドへ行き報告した。
◇
「さて、ギルドへの報告も終わったし、家に帰ってご飯にしましょ」
「もちろんサエラちゃんも一緒にね」
「ありがとうございます。」
「やったー、飯だ」
今日は一体どんなご飯なのか今から楽しみだ。
「それじゃあ、市場で材料を買って帰りましょう」
ノア達は材料を買いに市場へと向かった。
「姉ちゃん、今日は何を買うの?」
「そうねぇ、調味料と卵は家にある程度あるから、今日はじゃがいも、人参、きゅうりを買うわ」
「わかったよ姉ちゃん。俺探してくるね」
ノアは材料を見つける度にユキノの元へ持っていき、確認をして、全部揃い終わった後、会計を済ませ、家へ帰った。
「今日は何作るの?」
「今日はポテトサラダと、トリガエルの照り焼きよ」
今日は俺の好物のポテトサラダだ。
「やったー!姉ちゃんのポテトサラダだ」
「今日はサエラちゃんにも手伝ってもらうわね」
「わかりました。何をすればいいですか?」
ユキノはサエラに材料と作り方を丁寧に教えた。
「ポテトサラダ」
用意する材料
じゃがいも 4個
にんじん 1本
きゅうり 2分の1本
塩 小さじ3分の1
砂糖 小さじ1
酢 大さじ1
マヨネーズ 大さじ3
胡椒 少々
塩 少々
「マヨネーズ」
用意する材料
卵 1個
酢 20グラム
砂糖 7グラム
塩 4グラム
油 140グラム
ポテトサラダの作り方
1、まず皮を剥いたじゃがいもとにんじん、それぞれをお湯の入った鍋に入れて加熱する。
2、その間にきゅうりに塩をまぶし、よく揉んだ後、薄くスライスする。
3、じゃがいもとにんじんを鍋から取り出し、熱いうちに潰して砂糖を加える。
4、じゃがいもの粗熱が取れたら、水分を取ったきゅうり、にんじん、酢、塩、マヨネーズ(作り方は後ほど説明)を加えて混ぜる。
5、味を整えて完成!
マヨネーズの作り方
1、ボウルに卵、酢、砂糖、塩を入れてひたすら混ぜる。
2、ある程度混ぜたら油を半量(70グラム)を加えまた混ぜる。
3、また、ある程度混ぜたら油をもう半量(70グラム)を加え混ぜる。
4、マヨネーズ状になるまで混ぜ終わったら容器に入れて完成!
「さぁ、ポテトサラダは完成したから、次はトリガエルの照り焼きね」
「トリガエルの照り焼き」
用意する材料
トリガエルのもも肉 200グラム
しょうゆ 大さじ1と3分の1
料理酒 大さじ2
みりん 大さじ2
砂糖 小さじ1
トリガエルの照り焼きの作り方
1、加熱しておいたフライパンにトリガエルのむね肉を皮が下になるように並べて焼く。
(油はひかなくても良いが、焦げ付くようなら薄く引く)
2、場所によって火の通りやすさが違うので時々焼き色を見ながら、お肉を動かす。
3、全体に焼き色が着いたらひっくり返す。
4、弱火にして二分ほど焼く。
5、お肉に火が通ったら、お肉から出た油を拭き取る。(こうすることで味が重くなるのを防ぐ)
6、醤油、料理酒、みりん、砂糖を加えてお肉と混ぜながら煮詰める。
7、とろみがつくまで焼き、煮詰まってきたら、弱火にして焦げ付かないように気をつける。
8、タレが煮詰まったら、火を止めてお肉と混ぜ合わせる。(焦げ始める一歩手前までに詰めると、お肉と絡みやすいタレができる)
9、お皿に盛り付けて完成!
「さぁ、出来たわよ」
料理が机の上に並べられた。
「うわー、美味しそうだな」
「そうでしょ、サエラちゃん料理とっても上手なのよ」
「母に教わっていたので。でも私よりユキノさんの方がとても上手ですよ」
でも本当に美味しそうだ。
「それじゃあ、まずはポテトサラダから、いただきます」
あむっ...なんだこれは!口の中に広がるマヨネーズの酸味とシャキシャキとしたにんじんときゅうりの歯ごたえに、かすかに感じるじゃがいもの甘さ。全てが口の中で交わり、豊かなハーモニーを奏でている。
「これとっても美味しいよっ!」
「あら、良かったわ」
「そう言って貰えて嬉しいです」
これなら照り焼きの方も期待出来るな。
「それじゃあトリガエルの照り焼きの方もいただくね」
あむっ....!?香ばしく焼けたトリガエルの肉に甘いタレが絡み合って、口に入れた途端とろけて、消えてなくなるようだった。
「こっちもすごく美味しいよ」
「ふふふ、良かったわねノアが絶賛してるわよ」
「はい、良かったです」
このあと、みんなでご飯を食べた。そして夜になり、さえらが帰ったあと、のあとゆきのはノアとユキノは今日の戦闘の時のことについて話した。
「実はね、今日ずっとノアに謝りたいって思ってたのよ」
「どうして?」
「今日デビルフイッシュと戦闘になった時、ノアが魔法を使ってくれたから私たちは怪我をせずに済んだけど、本当はあまり魔法は使わない方がいいのに、私の不注意で使わせてしまったから」
そうだっのか。確かに今日、時折悩んでいるような顔になる時があった。
「気にしなくていいよ。あまり使わない方がいいって言っても、もしあの時魔法を使わず、二人が怪我を負っていたら俺は絶対魔法を使わなかったことを後悔したと思う」
ノアは自分が一番大切にしているのは自分よりもユキノや、サエラなんだと伝えた。
「ありがとう。やっぱりノアは優しいわね」
良かった。ユキノ達が笑顔でいてくれる、それだけでノアは幸せなのだ。だからでこそ、その笑顔が無くならないよう、ノアは自分を犠牲にしてまでも2人を守っていこうと誓った。
◇
コンコンコン 「すみませーん」
朝早くにドアをノックする音が聞こえた。
「はい、どちら様でしょうか?」
ドアを開けた先には2人の男女がいた。
男の人の方は少し険悪な顔をしており、女の人方は申し訳なさそうな顔をしていた。
「初めまして、サエラの父親です」
「初めまして、サエラの母です」
実はこの2人はサエラの親だったのだ。
「初めまして、私は娘さんとチームを組んでいるユキノと言います」
「初めまして、同じくチームを組んでるノアです」
ノア達は自分たちの名前とサエラとの関係を話した。
「娘からお2人のことは聞いています。何でも困っているところ助けていただいた上、チームに加えてくださったとか」
サエラ、親にそんなこと話してたのか。
でも俺の魔法のことは黙っていてくれているんだな。ありがとう、サエラ。
「いえいえ、当たり前のことをしたまでです。それに、私たちも娘さんがいることで救われたこともあります」
「そうですか。実はサエラには冒険者をやめてもらおうと思っているのです。それにあたってお世話になっているお2人にご挨拶をしておこうと思い、今日伺ったのです」
え?今なんて?サエラが冒険者を辞める!?
「えっ?どうしてなのか聞いてもよろしいですか?」
ユキノも驚いているようだ。
「元々あの子が冒険者をやることには反対だったんです。それでもやりたいと聞かないので仕方なく了承したのですが、先日の依頼での話を聞いて、やはりこのまま続けさせる訳には行かないと思ったのです」
「その依頼とはいったい?」
ユキノも気になっているようだ。
「湖での依頼のことです」
湖といえば、俺が2人を魔法で助けたやつじゃないか。
「大量のデビルフイッシュとの戦闘になり、お2人に助けていただけていなかったら大怪我では済まなかったかもしれないと」
俺達がサエラを助けたのはチームとして当たり前だし、あの時のことは俺の不注意でもある、つまり俺の責任でもあるのだが、この人はそう思ってないようだ。
「仲間を助けるのはチームとして当たり前だし、自分の不注意でもあるのでサエラさんの責任ではありません」
「そうです。それにその依頼を選んだのは私です。なので私にも責任があります」
2人は必死に弁解をした。サエラが怪我をしそうになったのはサエラのせいではなく、自分たちのせいだと。
「お2人にはとても感謝しています。あの子のためにこんなにも必死になってくれているのですから。しかし、危険なことは承知の上で依頼を受けたのです。その上でこんな調子じゃこの先やっていけないでしょう」
「私はあの子の好きなようにしてもいいと思ってるのですが、この人が辞めさせるって聞かない無いものですから」
そういう所は似たもの同士だな。
でも、この人はただ自分の娘が怪我をするのが親として心配なだけなんだ。
優しいところも似たもの同士なんだな。
そんなことを思っていると、
「やっぱりここにいた!なにしてんのお父さん、お母さん」
そこにはサエラが息を切らして立っていた。
「おおぉ、サエラお前もこっちに来なさい。明日から冒険者の仕事はやらないんだから、最後に挨拶をしなさい」
「だから、私は冒険者を辞める気はないって言ってるでしょっ!」
どうやらサエラが辞めたいと言い出したことでは無いようだ。
「ダメだ。お前に危険な目にあって欲しくないんだ。だからでこそ冒険者を続けるのは反対だ。」
「いやよ!ノアさんもユキノさんも優しいし、2人と一緒にこれからも冒険者をやっていきたいの」
お父さんの気持ちも分らから無くはない。俺もユキノや、サエラが傷つくところなんて見たくないし、そうならないために俺は自分のことよりも優先していくつもりだ。
だから、そう思える程サエラは俺たちの仲間として大切な存在なのだ。
「いやしかし、それでもまだお前には早い気がするし、もう少し大人になってからでもいいんじゃないか?」
「お父さんが心配してくれるのは分かるけど、私だってこれは譲れないの。もしそれでもダメだって言うなら、私この家を出ていく!」
あれ?これはちょっとやばいのでは?
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