第51話 【ACT七】試練

 「サンダルフォン」とメタトロンが発言すると、サンダルフォンは頷いて、

「分かっている、メタトロン。 我々も終わるかも知れない、と言う可能性が発見された事だな」

『何でだ、何でこの星ごと俺達まで滅びなきゃいけないんだ!』ミカエルが吼えた。『我らが唯一絶対神は一体何をお考えなんだ!?』

「静粛にしろ、ミカエル」メタトロンがたしなめた。「我らが唯一絶対神のお目覚めは間もなくだ。 その時に、伺うしかないであろう」

「ええ、いきなり起こしては、逆に我らが唯一絶対神の怒りを買いますわ」

ガブリエルが両手を握りしめて、言った。

「後一分だ」ラファエルが言った。「後一分で、お目覚めになる」

「神様、神様、私達は特別ですよね?」ハニエルが呟いた。「私達だけは、永遠に――」

そして重い沈黙がやって来た。

「「……」」

『何を恐れる』

いきなり轟いた声に、沈黙は破られた。

『我は唯一絶対の神なるぞ、我が僕よ』

「主よ、」言いかけたメタトロンに、声は伝えた。

『これは試練である』

「試練、ですか……?」サンダルフォンが、繰り返した。

『新世界に一点の穢れも澱みも要らぬ。 我が意に適う者のみが新世界にて再誕できるのだ。 ……かつてお前達の中から裏切り者が出た。 二度と出ぬように、試練を課す』

「その試練とは、どのようなものでしょうか?」ガブリエルが伺った。

『旧き因縁を全て断ち切れ。 悪しきものを原子の一つに至るまで絶滅させるのだ。 膿は出し切らねばならぬ。 お前達の中にある、迷いも、全てだ』

「「!!!」」

『我に見抜けぬ事は無い。 我が僕よ、試練を受けよ』

声は、消えていった……。


 過激派・強硬派連合軍、狂信国家ロトより進撃開始。

その侵攻先は聖地エルサーレムと推測される。

シボレテ擬似ワクチンの民間配布及び、総兵戦闘準備完了。

兵站の用意も万全、後方支援用意も終了。

迎撃先は――、

ロト近隣海域、万魔殿穏健派支配領域、通称『死海』。


 人類よ、神を殺せ。

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