第14話 保健室

あれ。グラウンドじゃない。  

「おっ、起きたかい」

保険医の先生が声をかけてきた。そうか、ここ保健室だ。

「お前100mを6.5秒だって。無理しちゃダメだろう。」

体を上げると炎樹が寝ていた。時計には12:26と書かれていた。

2時間も寝ていたみたい。てか、もう昼休みじゃん。

「その子、かなり青い顔で泣きながら君を運んできたんだよ…姫さま抱っこで」

「はああ?」  炎樹…よくそんな恥ずかしいことを…

「ただの貧血だから授業に戻れと言ったんだけどね、起きるまでここに居るっ

 て…李沢たちに引き取って貰おうと思ったんだけど逆に催涙スプレー(大)を渡さ

 れたからたまったもんじゃないよ」

「…スプレーっていうより20リットルボンベじゃ…」

炎樹の隣にあったのは理科室とかにあるボンベにエアブラシ

(山彦のストラップ付き)をつけたものだった。

「ん…ああ、刻おはよう」 炎樹が起きた。顔には涙の跡が残っていた。

「これでいいね。さあ帰った帰った」


「どうして倒れたのかな。」  

「お前ずっと身体動かしてなかったんだから、体力落ちてるに決まってんだろ」

「ああそうか」  道理でだるいと…  「通常のペースでやってたわ」

「まったく」 炎樹はため息をつきながら笑った。



「刻ーーーーーーーー!」

カフェテリアに入った瞬間、光希が飛んで来た。

「バカバカバカ。心配したんだよー!!」 

ポカポカ殴りながら叫んだ。

「ごめんごめん」 

炎樹と自分の分をもらったいながら言った。

「…で?利安先輩とは何していたの?」 

チラリと炎樹を見ながらニヤッと笑った。 

「やっぱりそれが目的か」


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