第12話 345号室
校長室から帰って来るとみんなが群がってきた。
「大賀大丈夫だったか?」「大賀君に何されたの?」「どんな話だったんだ?」
「なんか泣いてね?」
すっかり人気者だ。別の意味で…光希助けて〜
「モテてんじゃ〜ん」「ざけんじゃねーよ」
シーーーン。
「…本当に刻?」
「あ?当たりめーだろ」 「…」
「…刻が壊れた〜!!」 「やっぱ部長の噂本当だったんだ」
「会って数分だけど前の刻の方が良かった」「優しい刻を返して〜」
「んなこと言われても十年前の口調に戻っただけだろ」
『10年前の大賀(刻)?』
「ああ。あたしついさっきまで10年以上前の記憶が無かったんだよ。
記來おばさんが強制的に…」 『記來おばさん?』
「ああ。七瀬校長は私の叔母なんだ。大賀瞬間は私の弟だ」 『弟〜〜〜〜〜〜!!』
何だかんだあって寮に着いた頃にはフラフラだった。
「おーい刻ー。」 「こっちこっち」
水愛と氷華が表に迎えにきた。
「荷物は部屋に運ばせたよ。」 「男子寮には連絡橋でいけるの」
「食堂は共同だよ。」 「部屋は345号室」
「これが部屋の鍵。」 「紐に通しといたから」
「そう簡単に無くさないと思う。」 「首にかけてね」
交互に説明を受けた後、鍵を首にかけてくれた。
コスモスの形が先に付いている。
ルームメイトは、部長室にいた七瀬木乃、波内水愛、波内氷華、李沢薬の4人。
うちの寮は一部屋5、6人用だから、部屋はホテルみたいに広い。
おっきなベッドが二個あって頑張れば3人ずつ寝られる。それ以外の物は持ち込みのようだ。コーヒーメーカーは薬、充電器は氷菓が、ステレオと大量の本は木乃が持ってきたようだ。
「改めまして私は木乃。少し五月蠅くしちゃうかもだからごめんね。」
「水愛だよ」 「氷菓だよ」 『よろしくね』
「アタシは薬だよ。怪我したらアタシにいいな。」
「うん。よろ…し…く…」
起きたらもう朝だった。いつの間にか寝てしまったようだ。
ステレオにはデミ・ロヴァートのスカイスクレイパーがかかっていた。
「おっはよ〜」 「はいコーヒー」
「ただの寝不足みたいだな」
「急に倒れるからビックリしたよ〜」
みんながあたしの周りに群がっていた。寝ている間にパジャマに着替えさせてくれたみたいだ。「ねえ」 「ん?どうしたの?」
「えっと、パジャマに着替えさせてくれてありがとう(*´▽`*)ゝ¨・;*」
『(●Д●)』 「ん?どうした?」 『(●Д●)』 「(*´・д・)?」
「おーい、薬姐。溢れているよ」 「え…あっつ!」 『(*゜0゜)ハッ』
「みんな大丈夫か?何か変だよ?」 『アンタが可愛すぎんだよ馬鹿』
「(*´・д・)?」
「(笑o▼o笑*)ブハハハハハハッハハッハハ~~笑」
恵土と雷の笑い声が食堂に響いた。
「そんなんで火傷したのかよ」 「ばっかじゃねーの?」
「黙れ」 「しょうがないじゃん。刻、可愛いもん。」 「へえどん位?」
「こんくらい」 いつの間に写真を撮ったの。
『(●Д●)』 「わかるだろ」 『刻』 「?なっ何?」
『●●せて』 「手ェ出してみろ。丸焼きにするぞ」
回復した炎樹が腹に手を回してきた。顔は笑っているけど、怒っているのがよくわかる。
「お前ら、早くしねーと朝礼に間に合わねーぞ」唐突に風輝が言った。
「まじかやべー!!」 「昼食の時な」
「てかあたしもやべーし」 「じゃあね」
急いで部屋で着替えて、必要なものをカバンの中に詰め込むと、勿忘草の栞が目に止まった。少し迷った後、ポケットの中に突っ込むと教室に急いだ。
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