第9話 失くした記憶
「嘘でしょ」 「そんな…」 「マジかよ」
えっなに。なんか変なこと言った。
炎樹以外みんなあたしのことを見ている。
「おい、利安。これはどう言うことだ」 瞬間が炎樹に聞いた。
でも炎樹は薬の効果で寝ている。 「暫く寝ているさ」
闇が動いたと思ったら、瞬間の体を押さえた。よく見ると手に透明な何かを握っていた。それでさそうとした様だ。
「ちょっと何すんのよ」 炎樹との間に立った。
絶対炎樹に傷一つつけさせないからね。
「まさか『百鬼夜行』まで忘れているとはな」
「あんなに大好きだったのに」
雷と薬が意外そうに言った。少し悲しそう。
「…忘れているのなら仕方ないわね。失礼するわ」
記來おばさんが立ち上がった。小さなそぶりをする度にドキッとするのに立った姿はこの世のものとは思えないほど美しかった。
私の目の前に立った記來おばさんはあたしの額に手を当てた。
一気にいろんな”刻の記憶”が入ってきた。
薬の記憶・雷の記憶・恵土の記憶・氷華の記憶・水愛の記憶
炎樹の記憶・風輝の記憶・闇の記憶・木乃の記憶・瞬間の記憶
記來おばさんの記憶
”あの子”の記憶とあたしの記憶
その記憶で私達は人を殺していた。
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