第10話 格闘家vsエネルギー

 今は昼休みで、食堂の列に並んでいる。


 「魔王!かかってこい!」

 「僕たちは、もう、油断しない!」

 「ガル!」


 食堂の空いている席で、妄想が騒いでいる。


 「B定食。」


 格闘家リンドがいるのを確認している俺は、迷わずにB定食やきざかなを注文する。


 食事を受け取り、妄想が騒いでいた席に座る。


 ぼそっ。

 「休戦して食事しないか?」

 「するか!」

 「いいよ!」

 「ガル?!」


 3人がお互いの顔を見渡す。俺は、皿のはしに焼き魚、米、刻みたくあんを取り分けてやる。


 「いただきます。」


 俺がパクパクと食べ始めると、勇者ピア格闘家リンドは口の中はよだれでいっぱいだ。女戦士チェリーを食べよ食べよ光線を送っている。


 「わかった!食べるよ!でも、油断するな!」


 チェリーが許可を出すと、どこからともなくフォークとナイフを取り出し、ピアとリンドは飛びつくように食べ始める。


 「おいしい!」

 「うまいガル!」


 喜んでくれたようだ。本当はなでくりまわしたいが、一番後ろの授業の席とは違って食堂では変に思われてしまう。


 「となり、いいかしら。」

 「委員長。どうぞ。」

 「もう!眼鏡で判断しないでって言ったでしょ。黄田きだよ。」


 「黄田きださんは、A定食ハンバーグなんだ?一口もらうね。」

 「?!」


 よし。これも分けて、リンドを懐柔ペットにするぞ。


 「シロくん。あの?!その?!」

 「あ。ごめん。人の箸がつくの嫌だった?」

 「い、いえ。大丈夫よ!」


 箸で切り取ったハンバーグを妄想の前に、突き出すとそれぞれ、ナイフで切り取っておいしそうに食べる。

 「ふんじゃ。俺も。」ぱく


 「うん。A定食もうまいね。」


 心なしか委員長の顔が赤い。


 副題:ランチで隙あり

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