第7話 勇者vsローパー

 今は国語の授業を受けている。


 「魔王!今日こそは、お前のダンジョンからお宝を奪ってやる!」

 「僕も手伝うよ!絶対に魔王を懲らしめようね!」


 にカメラ越しで見ているようなダンジョンが現れる。


 今回は勇者ピアも一緒だし、安心して見てられるな。スライムのいた所から再スタートなのか、便利だな。


 「ピア!気を付けて!ここのダンジョンの敵は強いから!」

 「うん!わかったよ!」


 いや。女戦士チェリーが弱いだけだろ…。スライムに負けてたし。


 2人はダンジョンを慎重に進む。ダンジョン内は多数の分岐する道があるが、チェリーが行く方向を決め奥へ奥へと進んで行く。


 道のあちらこちらに水たまりがある場所をしばらく進むと、地底湖が現れた。地底湖からは、更に多数に分岐する道がある。


 「ここで、休もう。」

 「うん。」


 チェリーが地底湖の水を飲んでいると、地底湖から幾本もの触手が襲い掛かる。


 「あぶない!」


 ピアがチェリーをかばい触手の餌食に!


 うにょ、うにょ


 「ローパー!!ピアをはなせ!こぉのぉぉぉ!」


 ≪スラッシュ≫

 ザシュ!


 うにょ、うにょ

 「あ…っ!だめ…!」

 手に足に胸に触手が絡みついていく。


 「すぐに助けるから!」


 ≪スラッシュ≫

 ザシュ!


 うにょ、うにょ

 「いやっ!あぁぁ…!」


 授業どころじゃない…。どんどんピアに絡みつき、粘液まみれになっていく。


 「これで、どうだ!」

 ≪スラッシュ≫

 ザシュッ!


 ローパーは消滅し、1本の触手を残した。


 「ピア!大丈夫?!」

 「う…。毒を喰らったみたい…。」

 「そんなぁ!毒消し草持ってきてない…。」


 おい!ゲームの基本だろ…。ピアの体のあちこちが紫色に変色している。


 「待ってて!今、街で買ってくるから!あっ…。街へ戻る道がわからない…。」


 おい!お前が先頭を歩いてたよな?!そもそも、放置していくのかよ!


 「チェリー…。」

 「ピア…。」


 そんな二人のいる場所から少し離れた岩陰で、スライムが俺を見ている。


 じー。


 なんだ?


 スライムに意識を集中すると。


 『魔王様。おいら、頑張ってダンジョン守ってたのに…。なんで、なんで、こないだ邪魔したの?これから攻撃するけど、また邪魔するの?』


 うぉ?!言葉?意思疎通?

 『いや。すまん。こいつら、友達?だったから…。スライムが悪いわけじゃないんだ。』


 『そうなんだ。だったら、おいら魔王様の友達助けてあげるね!』


 そう言って、スライムが二人に近づく。


 「はっ!スライム!」

 チェリーが剣を向ける。


 ぼそっ

 「まぁ待て。そいつは大丈夫だから。」


 スライムがピアにとりつき、うねうねすると、ピアの体にできていた紫色のアザがみるみるうちに消えていく。


 「…熊本。熊本!続き読んで!」


 ガタン


 「すみません。聞いていませんでした。」

 「しばらく。そのまま立ってろ。前の席の白魚しらうお、続き読んで。」

 「はい。」


 副題:国語の授業で触手

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