青髪の控えめな僕っ子

第5話 勇者vs離間の計

 今は物理の授業を受けている。


 「おい!魔王!今日こそ討伐してくれる!」


 …頭が痛い。なぜ、痛いかと言うと。

 「後ろにいるのは、何だ?」

 「私のサポートよ!」


 そう。妄想が2人になったからだ。今度の奴は青髪で旅人の服を着ている。


 「僕の名はピア。チェリーの仲間!」


 ぼそっ。

 「ふーん。って、お前。名前あったのか?」

 「最初に会った時に名乗っただろ!」


 最初かぁ…

 「誰だよ。学校に美少女フィギュアなんて持ってきたの?」って言ったら、周りの奴に「なんもないぞ?欲求不満か?」

 その後、こいつが喋ってきたから必死に伝えようとして…周りの奴に危ない奴と思われている。軽いトラウマだな。


 ぼそっ。

 「そうだったか。ちなみにピアも俺を魔王扱いするのか?」

 「当たり前だよ!どう見ても魔王じゃないですか!」


 今度の奴はレベルどのくらいなんだろ?チェリーのサポートってくらいだから、2か3かな?ステータスって見れないのかな?


 ピコン


 ―――――――――――

  名前:ピア

  レベル:13

  クラス:勇者

 ―――――――――――


 「!!!」


 ぼそっ。

 「何がサポートだよ!勇者でお前の倍のレベルがあるじゃないか!」

 「そんな嘘に騙されるか!なぁピア。」

 「え…あの…その…。」

 「「…。」」

 「勇者のくせに、嘘ついてたのか?」

 「…。」


 「シロくん。ぼそぼそ独り言いってないで、実験手伝って。」

 「おう。悪い、委員長。」

 「委員長じゃないわよ!眼鏡で判断しないで!黄田きだよ。」

 「悪い悪い。この鉄の車をこの坂の上から走らせればいいんだよな。」

 「うん。コンマ2秒ごとに点がつくから、それで点と点の長さを測って加速度を証明するの。」


 坂に置いた鉄の車が徐々にスピードを出していく。


 「ピアなんてもういい!私ひとりで魔王を討伐する!」

 「まって!」


 鉄の車の道に2人が飛び出す。


 ガン!ガン!


 弾き飛ばされてピクリとも動かない。

 「悪い。ちょっと気分悪いから保健室行ってくる。」

 「え?シロくん?」


 2人をつかんで階段までやってきて、そっと階段に寝かせる。廊下も階段も授業中のため誰もいない。


 「おい。しっかりしろ!大丈夫か?!」

 チェリーは鎧着てるし、先にピアだ。服の上からじゃ分らないな。


 服を脱がして傷を確認する。

 「小さすぎて服を脱がしずらいな…。ん?この2つのふくらみ。」


 指でつんつんしてみる。


 ぷにぷに


 男?女?


 ぷにぷに


 んー?小さいのになのがついてるのでよくわからん。


 ぷにぷに


 ぱちり


 ピアと目が合う。


 「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 「はっ!どうしたのピア!…あーーーー!」


 「いや。これは。傷を確認しようとだな…。」


 「ピア!私の後ろに隠れて!ごめんね!私が魔王の口車に乗ったせいで!」

 「ううん!僕こそ、チェリーに嘘をついていたから!」

 「今日は撤退するけど!ピアへの辱しめの借りは、必ず返す!」


 そう叫んで、2人は消えていった。


 副題:物理の授業で飛び出し注意

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