第2話 女戦士vs善戦する

 俺は高校1年の熊本白くまもと・しろ。今は体育の授業を受けている。

 名前から誤解されるのだが、通っている高校は茨城県だ。


 「魔王!こないだの辱しめ…、絶対に許さないからな!」


 チャンチャンチャーンチャン♪


 「聞いているのか!変な動きして!」


 チャチャチャチャーン♪


 ラジオ体操である。ちなみにうちの高校では、ラジオ体操を第三まで覚えさせられる。


 「よーし!準備運動は終わったな!先生は体育準備室でやることがあるから、グラウンドを30周走っておけ!30周走ったら自由にしてていいぞ~。」


 「「「え~!30周?!」」」


 「双眼鏡で見てるからな、サボってる奴はわかるからな!」


 サボってるのはお前だろ…教師が学校に双眼鏡持ってくるなよ…。


 「はぁ。仕方ない。走るか。」

 「あ!こら!待て魔王!」


 たったったっ


 「うわぁ!うわ!きゃぁ!」

 おいおい。踏まれそうになってるよ。お。グラウンドの白線の内側に行った。


 たったったっ

 たったったっ


 「待て…!魔王…!ぜぇぜぇ…。」

 待てって、後ろから来たろ。一周差だ。って白線のこっち側に入ってくるなよ…。妄想でも、踏み潰されるのは忍びない。靴の紐を結ぶ振りをして、肩に乗せてやる。

 「魔王…!」

 「いいから。しばらく、肩の上で休んでおけ。」


 たったったっ


 「ちょっ…ああっ…ああっ……。」

 耳たぶにつかまって、あえがないでくれ!集中して走れない。


 たったったっ


 「ああっ…は、激しい…。」

 いや!あえがせたい!もっと、速く!


 たたたっ

 「はぁはぁ…まだ…まだまだ…。」


 たたたっ

 「もっと…はぁはぁ……優しく…。」


 たたたっ

 「はぁん…はぁ……あん…。」


 キーンコーンカーンコーン


 「あれ?いつの間にか授業が終わってる?」


 「シロくん。」

 「ん。白魚しらうおさん?」

 クラスメイトの白魚しらうおさんが話しかけてきた。おっぱいが大きいから覚えてるのではない。名前に同じ字が入ってるから覚えているのだ。…いるのだ。


 「シロくんって、頑張り屋さんなんだね。みんな直ぐに走りやめてたのに。」

 「いや。そーいうわけじゃなくて…」

 「ふふ。じゃ、着替えがあるから!」


 「はぁはぁ。魔王もたいしたことないな!全然余裕だ!」

 うっとおしい奴だが、今日のところはめてつかわす。


 副題:体育の授業でラッキー

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