第8話 お助けキャラ、派遣します!

「何も起こらない…」

ラブコメ病という奇病にかかって早1ヶ月が過ぎようとしている4月の下旬。俺は1人教室で唸っていた。

「どうした京真、朝からそんな唸り声なんてあげて」

俺を心配してくれたのか声をかけてくれたのは、俺の親友である佐々木涼ささきりょうだ。全く出てないので、誰だか忘れた人は第四話を読んでくれ。

「相変わらずお前、心の中で俺に対して失礼な事思ってないか」

「そんな事はないさ〜、お前はいい奴だぞ〜」

「そんな投げやりに言われても説得力ないわ」

そうだった、こいつは鋭いんだった。次回から気をつけよう。

「で、結局何に悩んでるんだ?良かったら聞かせてくれや」

「涼…」

何こいつめっちゃいい奴、こんなキャラだったのか。相談に乗ってくれるというのだから話す価値はあるし、涼の場合は恋愛系の話題なら適任だろう。

俺は親友に今の悩みを打ち明けた。

「なぁ、どうやったらラブコメって出来るんだ」

「あぁ、その悩み相談は無理だ。何故なら男子高校生の八割以上が日々悩み続けている永遠の課題だからな」

わずか10秒ほどで俺の悩みを切り捨てられた。やっぱこいつは使えなかった。同じ佐々木なら喰◯捜査官の彼の方がよっぽど役に立つ、アニメも始まったし。

しかし涼の言ってることも一理ある、学校は三角関数の証明ではなく、三角関係の証明などのラブコメの授業を早急に取り入れるべきである。

「というか、京真はどうして急にラブコメなんて恋愛に興味持ったんだ?去年は微塵もなかったじゃないか」

去年の俺を知ってる涼にとっては確かに疑問に思うだろう。だかな、今回は理由は簡単に説明できる。

「そんなの決まってるだろ、俺が男だからだ!他に理由が必要かね、ワトソン君」

「流石です、京真ホームズ先生」

どうやらこれだけで納得したらしい、やっぱり男は理解が早くて助かる。まぁ、名前の例えがおかしいがな、何も事件を解決してないのにホームズ呼ばわり。

「とにかくだ、俺は今年中にラブコメをする。その為の案を出せ、涼」

「頼み方が雑だなぁ…で、誰狙いなんだ」

涼が俺に尋ねて来た。恐らく俺が気になっている人がいるという前提なのだろう。しかし、残念ながらいないのでとりあえず部活のメンバーを言うことに決めた。

「とりあえず、茜か紗季か野村?」

「なんで疑問形なのかは置いとくとして…俺からしたらお前、そのメンツでラブコメが出来ない意味がわからないぞ」

「は?何でだよ?」

「気がついてないのかよ…」

何故か、涼に飽きられた視線を向けられた。何とかなくムカつくので絶対に今度嫌がらせする。

「まぁでも、京真がどうしてもというなら俺に秘策がある…今から俺が言うことを実践してみろよ」

そう言った彼、佐々木涼は不敵な笑みを浮かべていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


放課後の教室にて俺、佐々木涼はとある女子と話していた。

「東田さーん、ちょっとお話があるんだけど良いかな」

「何ですか、佐々木君」

「とうとう動き出せそうだよ、東田さん」

「そうですか…わかりました、では始めましょうか」

俺はニヤリと笑い

「じゃあまず、東田さん。こんな噂を知ってるかい…?」

と言った。


さて、では早速お助けキャラ、派遣されますか。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る