episode6

・・66・・・6

彼の電話番号が表示される。

鼓動が早くなって、自分でも顔が火照るのが

分かって、

そっと通話開始のボタンを押した。

震える手を抑え耳元に彼の声を運ぶ。

元気?

なんて暢気に聞いてきた。

どうしてそんなに冷静でいられるの。

結婚式前日だってのに。

緊張しい私の心身をほぐそうとしてわざわざ

電話をかけてくれたみたい。

なんでそんなに緊張してるんだよ。って

貴方は笑った。

貴方と電話をすると、

いつもの距離で話してる時よりぐっと貴方が

近くに感じられて

とろとろとした気分に貶められるの。

愛してる。

抱きしめられる感覚に似てる。

何となくそんなことを思いながら、

愛してるわ、私も。

なんてべたな返事をして、電話を切った。


今から支度しなくっちゃ。

貴方に、とっておきのサプライズ。

私は、貴方の一番の女ですもの。

貴方が今でも夜な夜な会いに行ってる女

なんかに負けるはずが無いの。


私の左手の薬指をプレゼントするわ。

貴方の6本目の左手の指。

貴方からその指輪を優しく嵌めてほしいの。

純白のドレスと教会に祝福されて。


そうそう、西洋では6ってあんまり良くない数字らしいわ。

たしか、悪魔の数字、だとか。

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