episode4

最初はただの憧憬だった。

次元が違う。の本当の意味を知った。

あんなに完璧な人、いや人なのか?

この世に存在し難いものが存在している。

出会う人々にそう思わせる人だった。

成績は常に学年トップ。運動神経も良く、

リーダー性に優れ、かつ話も面白い。

その人を嫌う人など見たことが無かった。

拙いながら、クラス長を務めていた自分は

委員会で同じ班になった。

近づくことが畏れ多く、(先輩ではあったのだが)

気さくに話しかけてくれるその人の目を見て話すこともはばかられた。

その人とはただの先輩後輩の関係。

それだけで終わってしまった。

私は進学し、高校生になった。

先輩は、当時某有名高校を蹴って

地元に残っていたらしい。

再び会えた。

心臓が震えたことを覚えている。

私は迷わずその人のいる部活に入った。

ほとんど毎日会えた。

廊下で挨拶だってした。

もっと近づきたいと、心から思った。



ある日、先輩に質問したいことがあり、

メールを送った。

返信は思ったより早かった。

明日も部活はあるよ。笑

たったそれだけの返信だった。

私の心臓はその時、肺を上に押し上げる様に

動いた気がした。

ぞくぞくと鳥肌がたった。

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