episode2

私は夢を見たわ。

深い深い海の底で、すやすやと眠る夢。

目覚めた私は美しい碧の中を

ぐうんと掻いて、

私は人魚かしら、魚かしら。

そんなことを考えながら世界中の

海を泳いだような気がした。

海の中って怖いものはなかったし、不便なことも無かったわ。

敵だっていないし、味方だっていなかった。

でもね、

満たされなかったのよ。

何か足りないなって思った。

そうしてね、本当の私は目覚めたの。

これはね、今朝のお話。

ふふ

なんでこんな話をするのかって?

どうでも良い話をするわけがないでしょう。

私は、

きっと魚になってしまったとしても、

人魚になってしまったとしても、

夢の中でさえも、

貴方を忘れることなんて出来ないわ。

だからね、そんなに泣かないで。

もう、泣くのはおしまい。


私の最後のお願い聞いてくれるかしら?

私の欠片は海に流してちょうだい。

どうせ貴方のことだもの。ペンダントにでも入れようと思っていたのでしょう?

駄目よ。

私は海の中で、貴方との思い出に浸りながら

ゆっくりとゆっくりと

貴方のことなんて忘れてしまうから。

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