極道 3
そんな中…
父が母に何かを渡した
封筒に入っていた
母が中を開けて見ると…
それは…
婚姻届だった
父のサインは既にしてある
「すぐに出して来い!」
母は呆然としながらも
「今さら何を言ってるの…」
と 照れ笑いを浮かべる
父「嫌ならいい!捨てろ!」
…素直じゃない…
父は若い衆の「ヤマナカ」に頼み婚姻届の用紙を持って来て貰ったのだ
自分の病気の事は一言も口に出さないが
この時…
自分は長くないんじゃないのか?と 悟っていたのか?
そして父は続けて話す
「俺と一緒になればここのやぶ医者がミスったりして万が一俺が死んだら慰謝料取れるしお前に俺の恩給が入るじゃねぇか!」
恩給と言うのは国から貰える年金みたいな物です
自給者が(本人)亡くなると金額は半分になりますが配偶者
のみに引き続き年4回一生涯お金が入ります
父は生命保険など入ってなく
(ヤクザは入れない)
持ち家も無くなっていたので
(母が売ったのだが)
残す物は何も無い…
とでも思って自分が死んだ後
母に少しでもお金が入れば…と思ったのでしょうか?
母は承諾しその日すぐに婚姻届を出しに行きました
役所に行き書類を取ったりしてある事に気がついた母…
戸籍には母との離婚は載っているが 愛人 との再婚は記されていなかった
父は 愛人 と籍を入れてなかったのでした
病院に帰り父に問う母
父はシブシブと話し始めた…
父は 愛人 に籍を入れてと毎日の様に催促されていたらしいのですが
「…どうしても籍を入れる事は出来なかった…あいつ(愛人)には本当に悪い事をしたが…一緒にはなれなかった…情けねぇが男としてのケジメもとれなかった…」
と 話しました
前にも書きましたが
彼女も身勝手な父の犠牲者だったのかも知れません…
そして…
6月14日
父と母は再婚した
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