母の陰謀 2

そんな事もありながらも 母は家の若い衆の面倒や

たまに来る父の食事などを作り毎日忙しくしていました


そして この日は組長や幹部達が他の組の一家との手打会で大阪に泊まりで行く日でした


父は出掛けに家に寄り

留守の間何かあったら此所に電話してくれとホテルの電話No.を母に渡し出掛けて行きました

母はそのメモを見る事もなく丸めて捨ててしまい

何やら部屋の大掃除をし始め一日中片付けをしていました


私も部屋の片付けを命じられシブシブとやってました…


そして夜…10時頃だと思います


家に5~6人の男達が来たかと思うと

ダンボール箱を持って来て 母が私に服や必要な物を入れる様に命じたのです


訳がわからず私がボーっとしていると

「早くしなさい!」

と 怒鳴った事がほとんどない母が珍しく声を荒げました


私は とにかくその辺にある服や化粧品など手当たり次第にダンボール箱の中に投げ入れました


30分位でしょうか…


母に促され外に出るとトラックが1台やって来ました…?

トラックに仏壇と私のダンボールとその他にダンボール箱3個

たったそれだけを積み込むと

私達も車に乗り


家の玄関の戸に大きくて細長い板を2本バッテンに打付け入れない様にし

その上に


「売約済」


と大きく印刷された紙を貼り

私達を乗せた車は走り去ったのです


あっ!と言う間の出来事でした


小一時間近く走ったでしょうか…

二つ先の町に着くと車は細い路地に入って行き

暫く走ると2階建ての古びたアパートの前で止まりました


アパートの前には次男の車が…?

中に入るとすぐに台所とトイレに浴室…そして奥に部屋が二つ…

それだけ…


でも家具類はすべて揃っていました

ふ?と

テーブルの上を見ると100万の札束が6束…?


あぁ…


なるほど…


脳天気な私にもようやく事の成り行きが理解出来ました


これって…


夜逃げ?…


母はこの日の父の泊まりを狙って水面下で引越しの準備を着々と進めていたのでした

それも 次男もグルで


ってか


夜逃げ所か

父に黙って我が家まで

600万+家具・引越し代

で売却してしまったのです



母上ムチャクチャでござりまする

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