母の陰謀 1

愛人 が亡くなってから父は寂しくなったせいか

良く家に顔を出す様になり その為若い衆達も出入が多くなり


また 長男の出所も近くなって来た事もあり

我が家での束の間の静寂も失われつつありました


そんな折 父の居ない時に見知らぬ数人の男達の出入も見掛ける様になりました


男達は母と何かコソコソと話しているのです


私が部屋に入ると必ず話が止まりわざとらしく違う話に切り替わっているのがわかりましたが……

私はあえて何にも聞く事もしませんでした


しかし……


この時……


母の陰謀が着々と進められていたのでした



父は……家に顔を出すものの

泊まって行くという様な事はありませんでした

ってゆーか 母の無言の

「帰れ~!」

ビームを父も感じ取っていたのでしょう


が……

ある日の事でした


母と私で母の実家に行き帰りが最終電車になってしまいました

家に着くと玄関に灯が……?

誰?と思いながら鍵を開けると更に内鍵が掛かっていて開きません


母と私は戸を叩きました

すると玄関に人影が……

そして


「こんな遅くに帰って来る奴等は家には上がらせねえ!」


……あらっ?……


父の声だ~


ってか……なんで勝手に上がり込んで鍵まで掛けてる??!!


母と私は公衆電話まで行き 母の祖父に電話をして父の説得をしてくれる様に頼みました

祖父はすぐに電話をしてくれて父を怒鳴りつけましたが

父は全く応じる様子もなく電話線まで抜く始末……


仕方なく母と私は夜中の町をウロウロとしていました

姉や母の友達の所に行くにも12時を回っていましたし……迷惑をかける訳いきません


当時 自販機ばかりが置いてある小さなプレハブ建ての店見たいな所があり

うどんなどの自販機もあったので そこで2人でしばらく休んでました


たまに来るタクシーやトラックの運転手などが

「こんな夜中に親子でどうした!?」

と 私達に声を掛けてくれました


冷酷な父より他人の方が よっぽど親切だっつーの!


そのタクシーの運転手が2時間後位に その店の前を通ると

まだ私達が居たので心配して警察に連絡をしてくれたみたいでした


お巡りさんが2人やって来て事情を聞かれました

良く見ると……あらっ?知り合いのお巡りさんだぁ……

前の何かの事件の時 我が家に何度か来た事のある人でした


私達は お巡りさんと共に家に行き

お巡りさんが 玄関の戸を叩き 出て来た父を説得してくれました


意固地になっていた父も お巡りさんの登場でやっと玄関が開きました

この時はもう夜中の3時回っていました


お巡りさんは父に

「離婚されたのに こんな事したら 家宅侵入罪 になりますよ」

と 言うと 父は


「この家は俺の家だ!」

と 怒鳴りつけ出て行きました


前々から母が出かけると機嫌が悪くなる父

まして夜中に帰って来るなんて今までは考えられない事だったので家に来て母の帰りを


まだか……


まだか……


と 待っている内に段々と腹が立って来たのでしょうね


でも離婚する前なら間違いなく 母を殴っていましたね

手をあげなかっただけ

まっ いっか


そんな……だだっ子の様な父


でもね……


そんな事ばかりしてると


今にしっぺ返しが来るよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る