波乱のど真ん中 4
さて中学1年生も終わり
私が2年になったあたりから
父には 愛人 が出来ました
いや……その前から居たのでしょうが私が知ったのはその頃でした
夜中……我が家に無言電話が何十回もくる様になったのです
父が事務所に行って来ると出掛けて数十分するとピタリと電話が止まるのです
父が 愛人 の家へ行ったって事はバカでもわかります
最初はそんな感じで隠していたのですが
何ヶ月かすると その 愛人 との付き合いが大胆になって来ました
家に帰らない事が多くなった父……
父も開き直ったのか隠す事もなくなりました
でも私はその 愛人 にちょっと感謝していました
父が家にいない事の解放感と喜び……
一生帰って来なければどんなに良いかと願う程でした
しかし 母にとっては屈辱的でありどんなに辛かったであろうか
でも母は一度も愚痴を言う事もなく
それどころか大晦日の晩に3段重ねの重箱におせちを作り
愛人 の家に持って行き
「主人に食べさせてやって下さい」
と 置いてくる程でした
……でもそれは 母なりの 愛人 に対する無言の訴えだったのかもしれません
母の苦しみをよそに
愛人 に感謝していた脳天気な私でしたが
一度だけその 愛人 に激しい怒りを持った事があります
私が友達と地元の花火を見に行った時の事
土手を歩いていると人込みの向こうから仲良く腕を組んで父と 愛人 が歩いて来ました
父は私に気付くと
「おう!ちび!来てたのか」
と 手を振りました
隣りの女は フッ。と愛想笑いをうかべながら
「こんばんは」
と 私に挨拶したのです
もちろん私はシカトです
友達が一緒なのに父が母でない女と腕を組んで歩いている恥ずかしさと
女連れで気軽に娘に手を振る父……に怒りを感じたのです
すれ違いざまに父の
「なんだぁ ちび お父ちゃん無視か」
と 、ちょっとバツの悪そうな声のあとに…
「あら!挨拶も出来ない娘さんなの?」
と 女の台詞!
この時ばかりは 後ろから駆けて行って非常識な女の背中に蹴りを入れてやりたいと思った位怒りを感じた事を覚えています
この後 父の我が家と 愛人宅の2重生活は4年間続きました
しかし……神様はちゃんと見ているのです
母を苦しめ続けた 女 に天罰がくだるのはもう少し後の話の中で……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます