第4話 出会い

「とは言ったものの……」


ソシアは最初に来たギルドの中にいた。


「私のランクは1だから旅の資金を効率的に稼げないなー……困ったな……」


そう、ギルドの方で決められていたルールがソシアを困らせていた。

ソシアは先程の冒険者登録を済ませて来たのだが、前ここの世界にいた頃のランクではなく初心者クラスのランク1、だった。ランクが1の場合受付できるのは果物等の採集、おつかい、老人の介護、配達、そしてたまにだが、ゴブリン等の討伐、どれも報酬が少ない。これから旅に出るに当たって必要な資金、金貨10枚は必要なのに。

するとソシアは受付嬢の元に行く。


「ランク1で一番報酬が高い依頼をくれ!」

「冒険者、ソシア様ですね? 難易度1の中で一番報酬が高いのは……こちらになりますね!」

「どれどれ……配達の護衛か。報酬はいくらなんだ?」

「報酬は銀貨10枚、銅貨70枚です! ですが……少し問題が……」


受付嬢がそう呟く。


「問題とはなんだ?」

「えっ? いえいえ別に大したことではないのでお気になさらず」

「そうか……ならその依頼を受けよう。報酬はここで受け取り、でいいんだな?」

「はい! ソシア様が依頼主とともにここに来てくだされば報酬を払います」

「わかった……その依頼主とは、どこにいるんだ?」

「それなら……えっとー」


受付嬢は地図を広げ、丁寧に説明する。しかしおかしいことに道を順々に指でなぞっているのになぜか今いるギルドの方に戻って来てしまう。


「実は私……方向音痴なんです」

「えっ、ああー、それならこの地図をもらえないか?」

(地図上での方向音痴は初めて見たな……)

「わかりました! それなら依頼主のいる所印をつけておきますね!」

「ああ、助かる」


そしてソシアはその地図と受付内容が記された紙を受け取るとギルドの扉を開けその印に向かった。

そしてソシアは受付内容を取り出し詳細を見る。


「エルフの森、か」


余談だが、私はハーフエルフだ。母親が人間で父親がエルフだった。私の父は魔法が得意だった、様々な所におもむき傷を負っている人がいれば回復魔法をかけてあげていた。偉大な人だった、しかしそんな父は

魔王の手下に殺されてしまった。前の私が魔王ブラスディクドゥを倒そうと旅に出たのはそのせいだ。

そんなことを思っていると、ソシアはようやくその依頼主の元に着く。

そこは藁が敷かれた小屋と小さな家があった。藁が敷かれた小屋の中には優しい眼差しをした竜馬がいた。

そしてソシアはその小さな家のドアをノックする。


「すいませーん、依頼を受けに来たものですがー」

「今行きますからっぁぁああ!!」

「どうかしたんですか!!?」


ソシアはドアを勢いよく開ける。そこは様々な薬草や、ハーブが壁にぶら下げられており、爽やかな香りが鼻に広がる。そしてソシアが先程の声の主を探そうと家に足を踏み入れたとき——


「フギュッ!」

「——ッ!? ん?」


ソシアが踏んだのは床ではなかった、ソシアは人を踏んでいた。


「ああー! これは失礼なことをした、すまない」

「イッテテー、いえいえ僕の方が悪いんです! 床に倒れてたから」


そういうと床に倒れていた青年は体を起こす、そして顔を上げる。緑色の美しい瞳、女装したら女に間違われるであろう綺麗な顔立ち、紫色の髪の毛の青年を見てソシアは思わず見入ってしまう。

そして青年は飲み物を準備すると言って壁に掛けてあるハーブを取る。そしてしばらくたち青年は二つのカップを持ってくる。


「ハーブティーなんですけど、糖蜜入れますか? 僕は入れますけど」

「いいや、私はこのままでいい」

「そうですか……よっと」


そしてその青年は小瓶に入った糖蜜をスプーン——ではなくそのままガバッとカップに注いだ。

そして糖蜜の入ったハーブティーをスプーンでかちゃかちゃと音を立てながらかき混ぜそれを飲む。

——甘そうだな

ソシアはそう心の中で思うと目の前の青年はその美しい顔を本当に幸せそうに崩す。

ソシアは出されたハーブティーを飲みながら、その青年に質問する。


「ところで君の名前を聞いてなかったな、名前はなんだ?」

「あっ、まだ名前を言ってなかったですね。僕の名前はバレン・エレシュキル、バレンと呼んでください!」

「ああ、わかった。私からも一応、私の名はソシア・ルーアン、好きなように呼んでくれ」

「……ルーアン……まさかあなたはクイッツァ・ルーアンさんの?」

「えっ? そうだが……なぜそれを?」


ソシアはその青年の口から出て来た意外な名前に一瞬戸惑うもその名をなぜ知っているのかと、目の前で目をキラキラさせている青年に質問する。


「そのー、大したことではないです。実は昔クイッツァさんと住んでいて……」

「ん?それはどういう——」

「——その前に着替えていいですか?」

「ああ、別にいいが……」


するとバレンはその場で服を脱ぎ出した。


「お、おい! ここで着替えるのであれば私は一旦外に出るぞ!?」

「えっ? ソシアさんはこういうの経験したことないですか?」

「あるわけないだろ!!? 私は女だぞ お前は恥ずかしくないのか!?」

「えっ? 僕は女ですけど?」







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