第3話
今日は四半期に一度の合同ミーティングの日だ。一昨日から準備していたパワポのデータが入ったUSBメモリをポケットに入れ、俺は自分の部屋のドアを力なく開き、憂鬱な気分を抱えながら出勤した。
あのとてつもなく楽しかった宮城旅行から、今年でちょうど四年になる。あのあと俺は1年弱の勉強期間を経て、東京のIT企業へと就職し、営業マンとしての毎日を過ごしていた。
と言っても、俺は元々技術畑からの転職だし、前職はITとはまったく関係のない職種。ついでに言うと人付き合いは決して得意な方ではなかったため、営業という仕事にまったく馴染めず、日々キツい思いをしながら仕事をこなしている。
あの宮城旅行のあとも、相変わらず俺と忍耐は、時々連絡を取り合って近況報告をしていた。俺が東京に出てきた後は、俺はとてもじゃないがネットをしている余裕がなかったため、黒猫やチエ、ヒカルといった面々と交流している時間はなくなり、正直その三人とは疎遠になってしまっていたが……
『やー爺様。久しぶり。元気?』
『おーう。忍耐も相変わらず元気?』
『元気だよ。最近ちょっと忙しいけどね』
こんな具合で、決して頻繁にではないが、年に数回ぐらいは連絡を取り合い、とりとめない話題で盛り上がることがあった。元々お互いいい歳だったし、そのへんの波長も似ていたのかもしれない。
そんなことをフと思い出しながら、埼京線の電車にゆられ、戸田から都内の五反田に向かう。窓の外を見ると、車窓のはるか遠くの方に、うっすらと富士山が見えた。懐かしい光景に、ほんの少しだけ目頭が熱くなった。
今日は、三ヶ月に一度開催される、会社での全社員出席ミーティングの日だった。俺がいる会社では、三ヶ月に一度、社員とアルバイト、重役全員が集まって、各人一人ひとりが、四半期の目標達成率と所感、そして次期の目標の発表を行う。今期は、この3月11日に行われることになっていた。
正直、俺はこのミーティングが好きではなかった。パワポの資料を作成する際、どうしても売上という名前の数字を目の当たりにする。俺はハッキリ言ってしまえば底辺社員だったから、この数字と対面するということが、苦痛でしかない。前期の自分のダメっぷりを、イヤでも実感してしまう……。
かといって、ならばイヤな結果を残さないように頑張るかとも思えず……要はアレだ。ダメ社員だ。結果は出せず、かといって結果が出せるように頑張るわけでもなく……頑張る精神的余裕もなく……仕事だけが溜まる一方で、ろくに眠ることも出来ない……ダメだとは分かっていたが、もう日々生きるのに精一杯で、とても仕事を頑張る気になれない……そんな感じだった。
そして今回も、苦痛以外の何者でもないミーティングがスタートする。他の社員のやつらの目標達成率や来期の抱負などを聞きながら、俺は自分の番が来るのを、イヤイヤながら待ち続けた。
やがて自分の番が来る。自分のパソコンをプロジェクターに接続し、俺が作った見栄えの悪いパワポの映像が会議室いっぱいに映しだされた。俺のパワポの資料は、他の社員のそれと比べて数字が多い。他の社員以上に数字に関わる立場なわけだから、それは当たり前なわけなのだが……パワポ一面に細かい数字が並び、俺自身、正直画面の数字がとても読み辛い。それはおそらく、俺以外のみんなも思っていたことだろう。
「では、はじめます」
自分の売上一覧を写し、一つ一つ説明を行っていく俺。特に著しく数字が変動した部分に関しては、詳細な説明を加えていく。
「ねぇ。この資料、数字が小さくて見辛いよ」
「そうですか?」
「うん」
「……すみません」
発表中、俺の上司がそう口をはさみ、俺は反射的に頭を下げた。『数字を乗せろ。グラフじゃダメだ。一枚に全部乗せろ』といい、このドラフトを見て『よしこれでいい。明日はこのパワポでプレゼンやれ』と言ったのは他ならぬあんただよね……という言葉は、回転がストップしてしまって久しい俺の頭からは、出てこなかった。
その後は上司からのお小言に近い質疑応答に四苦八苦しながら答え、俺のプレゼンは終了した。あとは他の奴らのプレゼンを聞いていれば、このミーティングも終わる。何事もなかったことにホッと胸をなでおろし、俺は自分のパソコンからプロジェクターのケーブルを抜いた。
その後、数人の社員のプレゼンが終わり、ミーティングも最後に差しかかる。最後は社長が来期の方針とかいうのを話す。
「来期の我が社の目標は、『ワクワクする仕事』でいこうと思う」
俺としては真剣に社長の話を聞いているはずなのだが……ぶっちゃけ、何も頭に入ってこない。今の業務内容に即したものだけでなく、楽しそうな仕事、面白そうな仕事には積極的に関わっていこうという趣旨なようだが……正直、早く終わらせて、会議室を出て外の空気を吸いたいと思い始めたその時だった。
「……あれ」
少し、部屋が揺れた気がした。
「……?」
天井からぶら下がった照明に目をやる。俺の気のせいではなかったようで、ぶら下がった4本の照明は、小さく揺れていた。どうやら地震が発生しているらしい。
まぁいい。これぐらいの揺れなら、すぐにおさまる。他のみんなも同じことを考えているようで、社長は揺れも気にせずプレゼンを続け、他の社員も真剣な眼差しでプレゼンを聞いている。俺も同じく、社長のプレゼンに再び集中しようとした。
「だから、これからは今の仕事だけでなく……」
揺れが収まらない。
「幸いうちは、系列会社にweb制作会社もあるから……」
まだ収まらない。長いな……
「これからはそっちも積極的に巻き込んで、新たな職種を開拓していくのも……」
揺れが大きくなってきた。
次第に社長の声に動揺が見え隠れし始め、社員たちがガヤガヤとしはじめる。そうしている間にも、揺れはひどくなる一方。天井の照明の揺れも大きくなってきた。
俺自身も、はじめはノンビリと構えていたが、次第に焦り始めていた。地震そのものは慣れている。今の揺れにしても、思ったより大きいという以外に感想はない。今のところは。
だが長すぎる。揺れも時間が経過するごとに、弱まるどころか強くなる一方だ。
「……よし。外に出よう」
プレゼンの最中ではあったが、流石に社長もマズイと思ったようで、俺達に外に出るように促した。その声を受け、俺達は静かに立ち上がり、一人、また一人とビルの外に出る。俺は皆が外に出た後、最後に会議室を出た。
外に出たあとも、揺れは体感出来る程度の強さを保ち続けている。『地震』という現象は、『地面が震える』から『地震』なんだということを今更ながら実感する。ほんの少しの恐怖とともに。
「……なんかやばくない?」
社員の女の子の一人がそう口ずさんだ。周囲を見る。乱立するビルの中からは、たくさんの人間が姿を見せていた。皆がこの揺れを感じ、外に出てきたようだ。皆騒然とし、携帯でどこかに電話をかける人や、携帯でネットに接続し、地震速報を見る人もいた。
次第にことの重大さがわかりはじめた時だった。
「……ビル、揺れてる」
誰かがそうつぶやいた。反射的に俺は、俺達の視界の遠くにそびえ立つ、高層ビルに目をやった。
俺は、特撮映画やSF映画が好きだ。怪獣映画を小さい頃からよく見ていたし、生まれて初めて見た映画はスターウォーズだ。現実的ではない世界がスクリーンいっぱいに映しだされるその様は、見ていてとても楽しい。今は大人になり、歴史物やサスペンスなんかにも面白さを見出すことができているが、それでも俺は、特撮やSFのジャンルの映画が一番好きだ。
だが、そんな映画でしか見たことのないような光景を、まさか直に見る機会がくるとは思わなかった。俺達の視界のどまんなかにそびえ立つ、巨大な高層ビルが、ぐらりぐらりと上下左右に揺れていた。
「……!?」
巨大な高層ビルが、今にも倒れそうに、ぐらりぐらりと揺れてはなんとか持ち直す……そんな、ディザスタームービーでしか見た事無いような光景が、今、目の前で繰り広げられている。少しつつけば、そのままガラガラと崩れてしまいそうに……無理なバランスを保ち続けるジェンガのように、巨大なビルがぐらりぐらりと、不安定に揺れていた。
やがて、次第に地震が収まってきた。揺れが完全に収まったことを確認し、俺達は再びビルに戻り、自分たちの会社に戻る。事務所の中は以外にも何事もなく、サーバーも止まらず、倒壊したものもない。被害は何もないようで何よりだ。
今日はお得意さんへのデータ納品の予定がある。俺は自分のパソコンで交通情報を確認しようと、YAHOOへとアクセスしたのだが……都内の鉄道網はすべてが運転見合わせの様子だ。俺が思っていた以上に、地震の規模は大きいらしい。
お得意さんに電話をかけるが、やはり回線が混雑していて繋がらない。念の為、先方には今の内にメールを送信しておく。『今日の納品はどうしましょうか?』我ながら間抜けな相談ではあるが、こっちの独断で納品中止にするわけにはいかないし……。
「ちょっとテレビつけるか……」
そんな俺の背後では、さっきのミーティングで俺のパワポにケチをつけた上司が、業務で扱う50型のテレビにアンテナ線をつなげ、電源を入れた。
「思ったより大きい地震だったみたいだね……」
チャンネルをNHKに合わせたようだ。ニュースキャスターが『地震』『震度7』『津波』『避難』と、物騒この上ないキーワードを、動揺を隠し切れない声で、必死に俺達に伝えようといている。俺も少し気になり、テレビ画面をチラリと見た。
テレビ画面には、特に被害のひどかったらしい現地の様子が映されていたのだが……そのテレビ画面の右上隅に、『中継:宮城県石巻市』という表記があった。
――爺様?
俺は、その画面を見るまで、地震は東京が震源地だと勝手に思っていた。でもそれは俺の勘違いだったらしい。鉄道網がすべてストップしてようが、東京駅でたくさんの人たちが救急車で運ばれていようが、東京は決して震源地ではなく、一番震源地に近い場所は……被害が大きい場所は、実は東北だったそうだ。
『宮城県は午後3時、波の予想の高さは6mとなっています』
ニュースキャスターが、少し熱の篭った声色で、それでも努めて冷静に、大津波警報だなんて聞き慣れない警報が発令された地域を読み上げている。お台場ではビルから黒煙が上がっているようだ。見慣れたフジテレビの建物の周囲に、黒煙が立ち込めていた。
自分のパソコンに目をやる。新しいメールの受信を知らせるアイコンが点灯していた。慌ててパソコンを見、メーラーを確認してみる。相手は今日データ納品する予定だったお得意さん。『今日は納品は結構です。お互い身の安全を第一に』極めて簡潔に、メールはその言葉のみで締められていた。
メールが届いたのなら、電話も生きているかもしれない……そう思い、電話の受話器を耳に当てる。……生きていない。やはり無理か。
「ぇ……」
「ひでぇ……」
社員の何人かが小さく声を上げた。お得意さんに『落ち着いたらまた、連絡いたします。お気をつけ下さい』と返信し、俺もテレビに目をやった。
『こちらは、現在の岩手県釜石市の様子です』
俺は岩手県釜石市には行ったことがない。テレビで見たことはあるかもしれないが、その記憶がないぐらい、まったくもって興味を持ったことがない街。それが岩手県釜石市だ。
そんな俺でも、これが異常事態だということがわかる。テレビに映る岩手県釜石市では、サイレンが鳴り響き、たくさんの車やトラック、大量のゴミクズを巻き込みながら、大量の水が海から押し寄せていた。
「これがどこなのかわかりません。海岸なのか港なのか……」
必死に感情を殺して、明確な発音でそう話すキャスターの声が、会社内に響いていた。映像を見る。まるで出来の悪いディザスタームービーのような映像が、淡々と映っている。水の中にポツリと浮かぶ建物の屋根がある。その建物の周囲にはたくさんの工業用パレットや箱、大きな船やたくさんの車が、海水の激しい波にもまれ、おもちゃのように流されていた。
画面が変わり、宮城県気仙沼の様子が映しだされた。
――若い子をけむにまいて翻弄するんだよ爺様……
こんな楽しいことはないねクックックッ……
これは映画じゃない。『映画だぜ』と言っても、きっと誰も信じない。それぐらい、ディザスタームービーにしてはあまりに陳腐で盛り上がりのないシーン……でも、だからこそ、確実に現実に起きていると実感出来る光景が、テレビに淡々と映しだされている。
気仙沼では、すでに巨大なビルの中腹あたりにまで海水が押し寄せていた。流されたと思しき桟橋が、ビルの壁にぶち当たっていた。音はない。定点カメラの映像だから、音声までは拾ってないんだろう。なんてチープな映像だ。盛り上がるためのBGMもなければ、轟音もない。あまりに静かで、淡々とした映像だ。
「石巻は……石巻は?」
俺の口が、意志の乗らない言葉をポツリと口ずさんだ。石巻の映像は、さっき映されたその後は、まだ映されてない……
4年前に使っていたものと同じ携帯を使って、俺は忍耐にメールを送った。
『忍耐、無事?』
だが、メールが送信されて数秒後、『送信できませんでした』というメッセージが無情に表示される。携帯は今、使えない……。
――いや。ほんとに奢らせて。
今日はとても楽しかった。
それは爺様がここまで来てくれたおかげだから。
そのお礼だから。
「……忍耐は? 忍耐は?」
テレビで仙台の様子も映された。ビルのてっぺんから煙が上がってる。『津波の観測情報が届きました』とキャスターが地名と津波の高さを読み上げ、画面では『津波警報が追加されました』と宮崎や鹿児島の地名まで表示されている。
やきもきしていると、石巻の中継が映った。
――うん? 私が女の子? なんで?
あの楽しかった宮城旅行で何度も見た、真っ白い雪が降りしきっていた。その向こう側で、ゆっくりと漁船が後ろ向きに流されているのが見えている。その間も、キャスターは必死に俺達に映像の状況を伝え、同時に『厳重に警戒をして下さい』と繰り返し伝えていた。
一瞬、俺の携帯が鳴った気がした。ハッとして携帯の画面を見る。着信履歴が一件残っている。番号を見ると、母親からの電話のようだ。無事を伝えたいが、折り返し電話をしようとしても繋がらない。
「こりゃ今日は帰れないな……」
社長がそう口ずさみ、財布から一万円札を出して、社員数人にコンビニで食べ物を買ってくるように指示を出した。それを受けて女性社員の何人かが、食料買い出しのために会社を後にする。
外出する社員たちを背中で見送り、俺はただひたすら、50型のテレビに映されている特番のニュース番組を見る。
「石巻は?」
画面の中継は、女川に切り替わっていた。
「女川はいい。石巻は?」
『石巻を映せ』という俺の小さな小さな叫びとは裏腹に、テレビ画面は女川から再び気仙沼へと切り替わっていた。巨大な船が沖に流され、荒れ狂う海上で、湯船に浮かべた子供向けの船のおもちゃのように、グラグラと揺れていた。
その日は会社で一晩明かし、翌日の午前五時に会社を出た。夜通しネットで情報を収集して、六時に大崎駅から埼京線の電車が出るという情報を見つけたからだ。最寄りの五反田から大崎までは距離にしてひと駅分。それぐらいなら十分歩ける。
大崎駅に到着したのは五時半。その後大崎駅の構内で八時まで待ち、準備された電車の中で出発まで2時間ほど待つ。動き出したら出したで、歩いたほうが速いようなスピードで電車は走り続け、家に着いた頃、腕時計は午後1時を過ぎていた。
自分の部屋の中は、思った以上に被害が少ない。引っ越してからできるだけものを置かないようにしていたのが、功を奏したのかもしれない。そんなことを考えながら、普段は自宅では見るのもイヤになっていたノートパソコンを開き、電源を入れる。
「石巻は? 石巻はどうなった?」
Googleでどれだけ『石巻』で検索をかけても、津波の被害に遭った以上の情報は見つからない。
少し疲れた……何かほっとするものが飲みたい……そう思い、駅からの帰り道でまだ稼働しているのを確認した外の自販機に、暖かいコーヒーを買いに出た。部屋に戻ると、コーヒーの缶の蓋を開けながら、反射的にテレビの電源を入れる。テレビでは相変わらず、地震や津波の被害を、ニュースキャスターが淡々と伝えている。昨晩から徹夜だった俺の頭も温かいコーヒーで緊張が溶けたのか、少しずつ眠気に包まれてきたのだが……
『それではここで、宮城県石巻市の津波の瞬間の様子をご覧ください』
テレビからのその一言で、俺の心臓がドキッとし、全身の血管が波打った。
――チャットでそう言ってたもんね。安心した。確かに爺様だ
食い入るようにテレビを見る。以前に一度だけ訪れたことがあるだけの石巻駅が、白黒の映像の中、ぼんやりと映っていたのだが……
――さすが爺様! 頼りになるギルマス!
しばらくして、その石巻駅に、大量の海水が襲いかかった。水だけじゃない。たくさんの木片やゴミ、コンクリートの塊、ベコベコにひしゃげた車……いろいろなものが、俺の思い出が詰まった石巻駅に淡々と迫り、無表情で石巻駅を飲み込んでいた。
――うん? 私が女の子? なんで?
たくさんの木材や車に、見覚えのあるものが飲み込まれていた。あれはあの日、俺を待つ忍耐が暇つぶしをしていたフリーペーパーのスタンド。あの時、忍耐の暇つぶしに付き合ってくれたスタンドは、たった数秒で水に飲まれ、倒され、ひしゃげ、ゴミと一緒に流された。
「忍耐……」
携帯で忍耐に『返事くれ』とメールを送る。次の瞬間、画面には『送信出来ませんでした』と表示された。
テレビの映像が切り替わった。俺の記憶にひっかかる、飲み屋と思しき建物が映された。なんだか見覚えのある立て看板が建てられたその店は、まだ何の被害にも遭ってないように見えたが……
――よかった。ここは魚が美味しいんだよ
次の瞬間、やはり津波がその店にも襲いかかった。店の入口にたくさんの木材が流れ着き、無言で立て看板をなぎ倒し、入り口のドアをこじ開け、店内に流れ込んでいた。
「……」
携帯を見た。着信はない。メールもない。何もない。
テレビに目をやる。俺と忍耐が酒を飲み飯を食って若人どもを煙に巻いた、あの白木の匂いが香るキレイな店に、津波で流されてきた、ぐしゃぐしゃに壊されたトラックがぶち当たった。飲み屋がその衝撃に必死に耐えるシーンを最後に、テレビの画面はスタジオに切り替わった。
俺は、ただテレビを呆然と眺めることしかできなかった。
――ごめん爺様
もはや何も感じることが出来なくなっていた俺の耳には、あの日、俺のどうでもいい質問に、真摯に、真剣に答えてくれた忍耐の声が聞こえていた。まっすぐな表情の忍耐の声が、何度も、何度も、何度も届いていた。
俺は、この震災で、友を一人失う覚悟をした。だが、涙は流れなかった。
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