番外編24〔ユーリセンチの女性達〕


番外編24〔ユーリセンチの女性達〕



ラウクン王子は、イサーチェがユーリセンチに戻って来た次の日に、結婚式を執り行う予定だったのだが、やはり今の王子の体を心配する声も多く、

なにより『タロウVSオリアン』というサプライズが急遽決まったので、その戦いを見たいと、大勢の人達が、これからユーリセンチに向かうということもあり、結婚式は明後日執り行われる事となった。


ラウクン王子は、少し不満を洩らし、セオシルに八つ当たりをしていた。

が、イサーチェが僕の国で教わった『すきやき』を作るから、少し時間が欲しいと頼むと、ラウクン王子の機嫌は直り、喜んで1日延期する事を了承した。


そして僕は、


「ラウクン王子、それじゃ僕達はこれで…」


と、ラウクン王子に挨拶をし、部屋から出ようとした。

すると、ラウクン王子が、


「タロウ、部屋は用意させてある。ゆっくりして行くがいい。」


「はい、ありがとうございます。」


すると、ラウクン王子は腰掛けていたベッドから立ち上り、僕に近付いて来た。僕はおもわず、


「ラ、ラウクン王子?座ったままでいいですから。」


と、両手を差し出し、ラウクン王子を制止させようとした。

が、ラウクン王子はそんな僕の行動などお構いなしに、僕のすぐ目の前まで来ると、


「い~や、タロウ。ちゃんとお礼をさせてくれ。

無事にイサーチェを送り届けてくれて心から感謝する。ありがとう。」


そう言うと、ラウクン王子は、僕をきつく抱き締めた。

と、同時に僕の耳元で、


「オリアンとの試合、楽しみにしてるぞ。」


「あ…」


僕は顔を少しずらし、ラウクン王子を見た。

するとラウクン王子は、僕に向かって、小さくウインクをした。


僕はそのまま首をゆっくりと動かしオリアンを見ると、オリアンは「ニヤリ」と笑い、


「それじゃ、俺も行くぜ。試合の準備をしないとな。」


と言い残し、右手を軽く上げながら部屋から出ていった。


そして、オリアンに続くように、僕とミウもラウクン王子に挨拶をし、部屋から出ていった。



僕はラウクン王子の部屋から出ると、


「ミウ、僕はこれからイブレドさんと、ファンさんの所に『醤油』と『味噌』が出来ているか見に行くんだけど、ミウは家族に会いに行くかい?」


と、歩きながら尋ねた。


するとミウは少し恥じらうような仕草で、


「あ…あのねタロウ…家族には会いたいんだけど、その前にやりたい事が出来たの…」


「やりたい事?」


僕はミウの顔を見ながら尋ねた。するとミウは、さらに恥ずかしそうに、


「うん、明後日の『剣技大会』…私も参加したい…なって…」


「え″?!ミウが『剣技大会』に!? 」


僕は驚き、歩いていた足を止め、


「で、でもミウが剣を振り回してるのを見たことないんだけど…、それにミウは、この国では『女神的』な存在だし。」


するとミウは『ニコリ』と笑い、


「大丈夫、大丈夫。タロウが帰って来たのは、みんな知ってるけど、私が付いて来てるなんて、誰も気付いていないから。」


僕は、ミウの黒い髪を見て思った。

確かに、トレード・マークの白い髪を黒く染めた事で、ラウクン王子の部屋に居た人以外は、誰もミウが帰って来た事に気付いていなかった。


「ね?タロウ、別人に成りすまして、大会に出れば大丈夫でしょ?

チェスハやナカリーをビックリさせたいの。」


「今のままでも、十分ビックリすると思うけど…」と心の中で思いながら、僕は心配そうな顔で、


「で、でもみんな強そうだよ、もしチェスハと試合になって、ケガでもしたら…」


するとミウは、そんな僕の顔を下から覗き込むと、


「あら?今の私は『黄金の鎧』より強いのよ。

その私がケガをすると思う?」


自信満々に答えるミウに、僕はハッとし、


「そういえば、そうか。今のミウは、この国で最強かも…でもな~ハァ~…」


僕は、大きくタメ息をつくと、


「でも、ミウって武器も使った事ないでしょ?」



僕はミウに初めてこの国に連れて来られ、帰る時までの事を思い出していた。

僕の知っているミウは『剣』と全く無縁の、か弱い女のコだったからだ。


するとミウは、少し考えると、


「『ホウキ』とかじゃダメな?」


「『ホウキ』って… まあ、今のミウなら、ホウキでも余裕だろうな…」


僕はそう思いながら、ミウを見つめた。


ミウは腕組みをし、首を傾けながら、何やら考えていた。

そんなミウを見てると、可愛くて応援したくなってきた。


「わかったよ、ミウ。もう1日あるから、武器の事とか考えてみようか。別人になりすますのだったら、顔も隠した方がいいかな?」


「ありがとう!タロウ!」


ミウは抱き付きながら、お礼を言ってきた。


僕は、ミウの頭を撫でながら、


「ミウがこんなに『ヤンチャ』だったとは知らなかったよ。」


するとミウは、僕の胸に埋めていた顔を上げ、心配そうに、


「タロウは、ヤンチャな女のコは嫌い…?」


と、尋ねて来た。


僕は慌てて、ミウの両肩を掴み、


「いやいやいや!全く!ヤンチャな女のコは大好きだよ!と、いうより、僕はミウの事が大好きなんだ!」


と、掴んだ肩を引き寄せ、さらに強く抱き締めた。


するとミウは、顔を僕の胸に埋めたまま、小さな声で、


「ありがとう…タロウ…私も大好きだよ。」


と、呟いた。



僕は、ラウクン王子とセオシルだけには、ミウが剣技大会に、みんなには内緒で出場する事を打ち明けた。


すると、ラウクン王子とセオシルは、心配するかと思いきや、


「ハハハハハハ!それはいい!みんなビックリするであろうな!ハハハハハ!」


セオシルに至っては、


「そうだ!それならタロウの国からやって来た『女剣士』てのはどうだ!?」


と、ノリノリだった。


とにかく、ミウの事は内緒にするからと、用意してもらった部屋で、僕がオリアンの戦いの為に『瞑想』するとかなんとか言って、部屋に誰も近づけないようにラウクン王子に頼んだ。


僕はその足で城を後にし、街に出た。

イブレドさんとファンさんに会いに行く為だ。


外には城の回りから街まで、大勢の人が溢れかえっていた。

僕は城にあった服に着替えていた。そのおかげか、誰も僕があの『タロウ』だと気付く者は居なかった。


僕は早速、街の外れにある『イブレドの宿』に行ってみた。


街の様子も大きく様変さまがわりしていたし、さぞかし大きな宿になっているに違いない。


と、そう思っていたのだが、宿に近付くにつれ、人はまばらになり、なぜかその一角だけは古めかしい、僕が最初に来た時と、さほど変わってはいなかった。


確かに僕が帰る頃は、少し増築し、綺麗になっていのたが、ただの増築だったので、所々に色が剥げ落ちた後が残っており、あきらかにあの頃のままで、回りに建っている建物と比べたら、かなり見劣りするものだった。


しかも辺りに人影はなく、あの『人々』でごった返し、大繁盛していた頃が嘘のようだった。


僕は、おそるおそる玄関に近付いてみた。外から見る限りでは中は暗く、人の気配は無い。


「誰も居ないのかな?新しく宿を建てて引っ越ししたのかな?」


僕は玄関の扉を開き、首を入れてみた。


「こんにちは~…イブレドさん…居ます~?」


と、その時!


「ヤー!!!」


「バキッ~ン!!!」


「あ!イテッ!」


僕の頭に何かが当り、その砕け散った破片が地面に散らばった。


「な、なんだ?」


僕は頭をさすりながら、人の気配がした方向に目を向けた。

するとそこには、1人の女性が、折れた棒を構えて立っていた。


年は僕と同じぐらいだろうか、腰まで伸びた長い黒髪、その服装は街に居た華やかな女性達とは違い、短いながらも鉄で出来たようなスカート、スラリと延びた脚、そのむき出しの脚を守るような銀色のタイツ、肘まである白い手袋。

上半身にはプロテクターのような物を装着していて、いかにも『女戦士』といった感じだ。



その女性は僕を睨むと、折れた棒を投げ捨て、すぐ側に立て掛けてあった新しい棍棒を手にした、今度の棒はさっきのとは色艶が違う、黒く鈍く光り、どうやら鉄のようだ。その鉄の棒を両手でバトンのようにクルクルと回すと、再び僕に棒の先を向け構えた。そして、


「この盗人ぬすっとめ!お前も『ハッコウ』の秘密を探りに来たんだろう!!

しかし!このアタシが居る限り、そんな事はさせない!!

ヤーーー!!!!」


「ブン!」


「ち、ちょ!…!」


「ガキッン!!」


僕は玄関に突っ込んでいたすぐに首を引っ込めた。

空を斬った鉄の棒は地面を叩き、カン高い音が建物に響いた。


僕は表に飛び出し、なんとか誤解を解こうと、説得を試みた。


「ち、ちょっと待って!怪しい者じゃないから、イブレドさんの知りあいだから!!

「タ、タロウが来た」って言えばわかるから!イブレドさんはここに居ないの?!」


と必死にさけんだ。


すると、棒の先が「ピクリ」と動き、と同時にその女性の動きが止まると、その顔は驚いた表情に変わり、


「タ、タロウお兄ちゃん…??」


「え?『タロウお兄ちゃん』?」


僕は改めて、その女性をまじまじと見た。建物の中とは違い、外ではハッキリと顔の輪郭まで見えた。


「え!?もしかして『ダシール』ちゃん?」


10年以上経ち、かなり大人っぽくなってはいるが、面影は残っている、確かに『ダシール』だ。しかもやはりと言うか、流石は『エミナー』さんの妹、出るところはしっかり出ている。プロテクター越しにもしっかりわかる程だ。



「カランカランカラン…」


ダシールは持っていた棒を地面に落とした。そして、


「タロウお兄ちゃ~ん!!!」


ダシールは、僕に飛び付いて来た。その光景はまさに昔のままだった。


しかし、昔のように小さな女のコに抱き着かれるのとは訳が違う、成長し大人の体になったダシールは、柔らかくて、なんだかミウに申し訳ない気がした。


僕は恥ずかしくなり、再会の余韻に浸る余裕もなく、ダシールを体から離すと、


「お、大きくなったね。ダシールちゃん。」


『ちゃん』付けしている僕の方が照れ臭くなってくる程だ。


するとダシールは「クスクス」と笑い、


「当たり前だよ、タロウお兄ちゃん。もう10年以上経つんだよ、もう18才。立派な大人だよ。」


と、足をクロスさせ、ウインクをしながら少し前屈みになった。

まるで胸の谷間を見せつけるかのように…


僕は「ハッ!」と思い出した。


「こ、このポーズは…」


僕がこの国に来て間もない頃、チェスハの店に行っていた頃、チェスハがよくこのポーズをし胸の谷間を見せつけ、その度に僕の顔が赤くなり、よくからかわれたのだ。


しかし、今回はプロテクターに守られ、胸の谷間どころか肌も見えてなかったので、顔が赤くなることはなかった。

いや、抱きつかれた時は少しドキドキしたのだが…

まったくチェスハったら、こんなことまでダシールに教えて…


僕が呆れ返っていると、


「タロウお兄ちゃんは、タロウお兄ちゃんのままだね。」


ダシールが顔を赤らめ、言ってきた。

その表情は昔のダシールそのものだった。


そして、


「お父さんに用事があるんでしょ?中に居るから呼んできてあげる。」


と、言い残し、落ちていた棍棒を拾い、建物の中に走って行った。


その後ろ姿は、チェスハとの模擬試合をした時のエミナーさんに瓜二つだった。


ダシールが建物に入って数分もしないうちに、叫びながらダシールは戻って来た。


「タロウお兄ちゃ~ん!お父さんが、「中に入って来い」だって~!!」



僕はダシールの後に続き、建物に入った。中も昔のままだ。初めて食事をしたテーブル、初めて『ジャム』を作ったキッチン、僕は辺りを懐かしみながらイブレドさんのいる奥へと向かった。


この宿は、そんなに大きな建物ではない。すぐにイブレドさんの居る1番奥の部屋に着いた。


そこには『樽』を除き込むイブレドさんの姿があった。


イブレドさんは、僕達の気配を察知したのか、樽を覗き込んだまま、


「やっぱり来たな兄ちゃん。待ちくたびれたぞ。ちょっと待ってな、今、最終行程だ。」


僕は辺りに漂う匂いにつられ、イブレドさんの覗いている樽に近付いた。

すると、イブレドさんは、


「どうだ?兄ちゃん、いい感じだろ。これが『みそ』ってやつなんだろ?」


樽の中に入っていたのは、まぎれもなく『味噌』だった。部屋をよく見ると、同じような樽がところ狭しと置いてあった。


あとで詳しく聞いたのだが、この宿は味噌を寝かせるのにちょうど良い環境にあるみたいだ。

町から少し離れ、風もよく通る、イブレドさんはここで、味噌の様子と、新しい発酵料理の研究をしてるそうなのだ。


ここを取り壊し、新しい『味噌』専用の建物を建てるという話もあったみたいなのだが、ラウクン王子が、


「この宿に『タロウ』が泊まり『ジャム』が出来た。『タロウ伝説』は、すべてこの場所から始まったのだ。この建物はこのまま残したい。」


この一言で、この宿は昔のままの姿で残される事になったのだ。



イブレドさんは僕に、


「出来たのがあるから、食べてみるか?」


「はい!ぜひ!」


僕はイブレドに連れられキッチンに向かった。もちろん、ダシールは僕の腕に抱き着いたままだ。


よく見るとキッチンにも、小瓶が沢山並んでいた。


イブレドは、その中から1つの瓶を手に取ると、蓋を開け僕に手渡した。


僕はそれを受けとると、中を覗き、匂いをかぎ、指につけて舐めてみた。


「すっぱ辛い……」


僕の表情を見たイブレドさんは、


「やっぱりそうか…でもこれであってるだよな?兄ちゃんの教えてもらった通りに作ったし…」


不安そうな表情をするイブレドさんに僕は、


「大丈夫です。これでいいはずです。実を言うと、僕も『味噌』をそのまま舐めたのは、これが初めてなんですよ…」


「なに~!初めてだと~!?」


イブレドさんは、ビックリしたように驚きの声をあげた。


僕はあわてて、訂正するかのように、


「い、いや、味噌の料理は食べたことあるんですけど、味噌をそのまま食べたことはないんです。

そもそも『味噌』はお湯で薄めたり、何かを混ぜて野菜に付けたり、料理の中に『隠し味』として使うと物なんですよ。」


するとイブレドさんは、


「やっぱりそうか、試しに薄めて飲んだら、なかなか旨かったからな。」


「でしょ?イサーチェさんなら、もっと美味しい料理を作ってくれますよ。早速出来上がっている『味噌』を城に届けましょう!僕も手伝います!」


すると、イブレドさんはダシールと目を合わせ、


「ハハハハハハ!その事なら心配いらねえ!もうとっくに持って行ってるよ。イサーチェが帰って来たんだ。すぐに城に持って行ってやったよ。

『しょうゆ』もファン達が持って行ってるはずだ。

『しょうゆ』は力仕事があるからな、ファン達に任せたんだ。」


「『醤油』も出来たんですか?」


僕がイブレドさんに尋ねると、


「ああ、出来たは出来たが、あれでいいのか?飲めた物じゃなかったぞ…?」


と、『味噌』同様不安そうな表情になった。


「醤油を飲んじゃったんですか?!」


すると、ダシールも、


「わたしも少し舐めたけど、辛かった~!」


と、しかめっ面をしながら話した。


「ハァ~…」


僕はタメ息をつくと、『醤油』もそのまま飲むものじゃないんですよ。

かけたり、入れたり、混ぜたり。

でも、イサーチェさんならきっと上手く使いこなせます。楽しみにしてて下さい。」


イブレドさんは、ホッとしたように、腕組みをし、


「そうか、兄ちゃんがそい言うなら大丈夫なんだろう。

それより兄ちゃん、1つ聞きたいんだが、『オリアンとやる』っていうのは本当かい?」


「え?!ま…まあ…」


僕は、小さな声で答えた。するとイブレドさんは、


「実際のところ、兄ちゃんがそんなにすげえヤツとは知らなかったぜ、俺は兄ちゃんが戦っている所は見たことがねえからな。

食べ物に関しては、すげえと思っていたがな。」


すると、ダシールも、


「あたしもビックリしてる。お姉ちゃんや、チェスハさんから話は聞いているけど、まだ信じられないもん。」


僕は頭をかきながら、


「ハハハ…、僕もそう思います。だって僕はケンカもしたことないんだから。」


すると、イブレドは呆れたように、


「はあ~?よくそれでオリアンやスライン達をやっつける事が出来たな!?」


「まあ、いろいろとありまして…ハハ…実際、オリアンやスライン将軍とは直接戦っていないし、運が良かったんですよ。」


「まあ、兄ちゃんの事だ、またおもしれえもんを見せてくれるんだろうよ。」


僕は話題を変えようと、ダシールを見ながら、


「そういえば、女の人の剣技大会が開かれているんだって?

その格好、もしかしてダシールちゃんも出ているの?」


すると、ダシールは抱いていた僕の手を離し、クルッと1回転するとポーズを決め、


「うん!去年から出ているの。どう?カッコイイ?」


僕は、スラリと延びた脚に見とれながらも、


「うん、カッコイイよ。さっきの一撃といい、もしかして強いんじゃない?」


するとダシールは「ハッ!」と思い出したように、


「そうだ!さっきはゴメンナサイ!てっきり泥棒かと…痛かったでしょ?」


そう言うと、ダシールは深々と頭を下げた。


「大丈夫、大丈夫。僕は頑丈に出来てるみたいだからね。」


と、自分の頭を「コンコン」と叩きながら、ダシールに言った。


「ダシールちゃんは『棍棒』が得意なんだ。」


するとダシールは、ニコリと笑うと、


「うん!あたし、長いホウキを使うのが上手って、お母さんに誉められていたの、だからこれならいけるかなって。」


僕はミウが言った「ホウキとかじゃダメかな?」が頭に浮かび、おもわずクスッっと思い出し笑いをした。


するとイブレドさんが、


「どうした?兄ちゃん。やっぱり『棍棒』じゃダメなのか?」


僕はあわてて、


「いやいやいや、そんな事はないです。棍棒は剣より長いし、上手く使いこなせばかなり有利ですよ。

それに、さっきのダシールちゃんの『棍棒さばき』は上手かったから、チェスハさんにも勝ってたりして。」


するとダシールは「ブンブン」と首を左右に振り、


「ううん、去年の大会ではチェスハさん達と戦う前に負けちゃったから、もし戦っても、まだあのスピードにはついて行けなかったな…

それに、強いのはあの2人だけじゃないの、セオシルさんの奥さん『ナカリー』さんや『ニーサ』ちゃん。他の国から来た人達、それに今回はチェスハさんとこの娘さん『リムカ』ちゃんも出るみたいだし。」


「そうなんだ…あの2人は10年経っても現役なんだ…って、どれだけ強いんだよ…」


「でも、あたしもこの1年間、かなり練習したんだから!今度こそ、あの2人に勝ってみせるわ!見ててね、タロウお兄ちゃん!!」


ダシールは、小さくガッツポーズをすると、またまた僕の腕に抱き着いて来た。


「うん!頑張ってねダシールちゃん!」


と、平静を装って応援したものの、綺麗になったダシールに、かなりドキドキしていた。



僕はそれから、味噌以外の『大豆』食品や『発酵食品』をイブレドさんに見せてもらった。


そして城に帰る途中、ミウの武器になりそうな木を捜して持って帰った。もうミウの使う武器は決めてあったのだ。

たぶんこの国には無いだろうと思い、作ることにしたのだった。


それから僕は、ミウの待っている部屋に戻り、武器の制作に取りかかった。



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