番外編10〔なくて七癖〕
番外編10〔なくて七癖〕
僕とミウは、急いでラクの控え室に向かった。
が、あまりの人の多さになかなか前に進めない。なぜなら、あまりにも『強運』の持ち主『ラク』を近くで一目見ようと、人が集まって来ていたのであった。
僕は人混みに揉まれながら、ミウと繋いでいる手が離れそうになるのを、何度も繋ぎ返しては、離れないようにしていた。
結局、30分という時間は、あっという間に過ぎ、僕達はラクの所に行くことはできなかった。
休憩の30分が過ぎても、ラクの控え室の前には人が集まっていた。
どうやら、ラクに直接触ると『運』が貰えるという噂がひろまったのだ。
少しして、ラクの控え室の扉が開いた。
人々が押し寄せる中、4人の衛兵に囲まれたラクが姿を現した。
ラクはあまりの人の多さに圧倒され、小さな体をさらに小さくしながら、闘技場に向かった。ラクの後からは、妹のスン、ラクの両親が心配そうな表情でついてきた。
家族は闘技場の中まで入れる決まりなのだ。
ラクとその家族が闘技場に入って行くと、扉は閉められ、衛兵2人が扉の警護に立っていた。
すると、さっきまで居た大勢の人達が、波が引くようにその場から居なくなってしまった。
ラクとセオシルの試合を見るために、自分の席に帰ったのだ。
僕とミウは、なんとかラクの居る闘技場の中に入るため、警備をしている衛兵達の前に行った。
「あの~、この人はラクのお姉さんなんだけど、中に入れてもらえるかな?」
すると、衛兵の1人が僕を睨み付け、
「なんだ?貴様ら!さっきの控え室にはいなかったな?」
「さっき到着したばかりで、ラクの応援がしたいんです!」
ミウは頭を下げ、衛兵に頼んだ。すると、もう1人の衛兵が、
「お前、本当に姉なのか?それにラクの姉は、あの『ミウ』様なんだぞ!顔を見せてみろ!」
その衛兵は、ミウの被っていたフードを取った、すると…
「し、白い髪…」
と、2、3歩下がり、
「お、おい…」
と、隣にいた衛兵に耳打ちをした。そして、
「ち、ちょっと待ってろ、今、確認して来る。」
と、言い残し、闘技場の中に入って行った。と、すぐにラクの父親を連れて衛兵が戻って来た。
ミウは父親を見るなり、
「お父さん!!」
と、抱きついて行った。
「ミウ!?本当にミウなのか?どうしてここに?」
「みんなに会いに少しだけ戻って来たの。すると、ラクが試合をしてるって聞いて、応援しに来たの。タロウも一緒よ。」
と、ここで僕も被っていたフードを取り、
「お久しぶりです、お父さん。ラクの応援に来ました。中に入ってもいいですか?」
「タロウ君!ああ、もちろんだ。いいですよね?衛兵さん達。この2人は、紛れもなく私の娘と息子だ。」
すると衛兵達は、いきなり片膝をつき頭を下げながら、
「失礼を致しました~!あなた様が、タロウ様とミウ様とは知らずに、ご無礼な態度をとってしまいました~!!
おい!すぐにラウクン王子に報告をしろ!タロウ様が戻られたとな!」
「は!わかりました!」
「ち、ちょっと待って!」
僕は、ラウクン王子の所に行こうとした衛兵を呼び止めた。
「今は、ラウクン王子に知らせるの待ってもらえませんか?騒ぎになると、せっかく盛り上がってる大会が台無しになるから。
それにさ…」
「それに?…」
僕は衛兵に近付くと、2人の耳元で、
「セオシルが負ける所を見たくないですか?」
「え!?セオシル様が負ける?あのラクにか!?」
衛兵達は物凄く驚き、顔を見合わせた。続けて僕は、
「たぶんね、だから入ってもいいですよね。」
すると衛兵は、
「も、もちろんでございます。父親の確認もございますし、貴殿方がラクの家族というのは間違いございません。どうぞお入り下さい。」
衛兵は扉を開くと、僕達を中に入れてくれた。
僕が『あのタロウ』ということもあるけど、セオシルがどうやって負けるのか見てみたくもなったのだ。
その事を裏付けるように、扉は完全には閉まらず、隙間からは2人の衛兵が闘技場の中を覗き込んでいた。
ミウは闘技場に入ると、すぐに母親と抱き付き、妹にも抱き付き、再会を喜んでいた。
僕は父親にラクを呼び寄せてもらった。
そこに居たのは、僕の知っている幼い少年ではなく、立派な戦士の少年だった。
ラクは僕を見るなり、
「タロウお兄ちゃん!?本物?」
「アハハ、もちろん本物だよ。ラク君も見違えるぐらい立派になったじゃないか、しかもこんな大きな大会で、決勝戦まで勝ち上がるなんて。」
するとラクは曇った表情になり、
「僕が強いんじゃないよ、相手が勝手に自滅したんだよ。僕がこの場所にいること自体おかしいんだ。」
僕はラクの肩を「ポンッ」と叩き、
「違うよラク。さっきの試合だって、ラクが最後まで諦めなかったから勝てたんだ。
ほら『運も実力のうち』って言うじゃないか。」
ラクは「ポカン」としながら、
「え?そうなの?初めて聞いた…」
「え??あ、ああ、まあ…僕の国ではね、ただ強いだけじゃいけないんだ。運を味方につけていると、弱い人が強い人にも勝てる事があるんだよ。
例えば、ラクがセオシルに勝つとかね。」
「え!?ぼ、僕がセオシル様に!??」
「その通り、だってラクにはこんな素敵な『勝利の女神様』が居るじゃないか。」
と、僕はミウを見ながら言った。
「え?私が『勝利の女神』?」
ミウは驚きながらも、僕に『女神』と言われた事が恥ずかしかったのか、顔を赤らめた。
「うん、そうだよ。だってミウが「みんなに会いたい」って言わなかったら、僕達は今日ここには来なかっただろうからね。
僕はセオシルに勝つ方法を知っている。その僕を呼び寄せたのは、ラク、君の『運』なんだ。」
その時、審判の声が響いた。
「戦士は中央へ!!!」
僕は急いで『ある事』をラクに伝えた。
「ラク、1本目は取られても構わない。とにかく守りに集中して。それからこれだけを確認して欲しいんだ、ゴニョゴニョ…」
僕はラクに耳打ちをし、背中を「ポンッ」と 叩き、送りだした。
ラクは緊張した面持ちだったが、僕に大きく頷きセオシルの前に向かった。
そんな僕達の様子を、鋭い目で見ていた人物が居た。特別席で見ていた『オリアン』だ。
「なんだ?あいつら?あそこに居るって事はラクの家族か?親戚でも来たか?」
僕達が黒いローブを頭からスッポリと被っていたおかげで、誰だか気付いていないようだった。
何やらブツブツ言っているオリアンにスラインが気付き、
「ん?どうした?オリアン。」
「ん、いや、なんでもねえ…」
するとスラインは、
「あのチビ、ほとんど戦わないでここまで来たが、この戦い、どう見る?オリアン。」
「ハハハ!セオシルが負けるとでも?確かにラクは、良いものを持ってる、しかも『強運』の持ち主だ。だがな『運』だけで勝てるほど戦いの世界は甘くない。それなりの知識、経験が必要だ。
それにラクは、まだ身体も出来ていない。一方セオシルは今が1番強い時期だ、話にならないだろうな。秒殺だ。」
「ほう…じゃあ、次に戦うお前も危ないんじゃないか?」
「バカ言うな、セオシルがいくら強くても、俺の足元にも及ばねぇよ。
だから王子は、お前をわざわざ呼んだんじゃねえか。」
「まあな、本当は俺も試合なんかどうでもいい。模擬戦とはいえ、お前と剣を交える事が出来るのなら飛んでくるさ。」
「まあ、俺からしてみれば『生きた剣』を使わないスライン将軍なんか、『羽根のねえ鳥』みてえなもんだ。まあ、せっせと逃げ回ってくれや。」
「アホぬかせ、お前みたいなうるさいハエは叩き落としてくれる。せいぜい潰されないよう気を付けるんだな。」
「なにを~!!」
「ガタッ!」
「なんだ!この野郎!」
「ガタッ!!」
オリアンとスラインは立ち上り、お互いの首もとを掴み、顔を見合わせた。
そんな様子を、呆れた顔でラウクン王子が見ていた。
「コラコラ2人共、その元気は模擬戦まで取っておけ、ここで戦っても、観客は喜ばぬではないか。」
「チッ!」
オリアンは舌打ちをし、スラインを離すと、席に座り、闘技場の中央を見た。
「済まなかった、ラウクン王子。つい熱くなってしまった。」
スラインもラウクン王子に頭を下げると、自分の席についた。
「ハハハ、仕方ない。これだけの熱気だ。熱くなるなという方がムリだ。ハハハ!ほら、試合が始まるぞ。」
ラウクン王子の言葉に、オリアンとスラインも中央に居る2人に注目をした。
そして、
「1本目!始め!!!」
審判が合図をしたと同時に、セオシルが飛び出して来た。
「ハハハ!よくここまで勝ち上がってきたな!!」だが、貴様の『強運』とやらもここで終わりだ!」
「ガン!ガンッ!ガン!ガン!ガン!」
セオシルはラクが小さいからと、一切手を緩めなかった。今まで通り、相手に攻撃を与える暇なく木刀を降り下ろした。
「ガンッ!ガン!ガンッ!ガン!ガン!」
「どうした!亀のように固まっていても、俺には勝てねえぞ!!!」
ラクは木刀を腰に差したまま、両手で盾を構え、必死でセオシルの攻撃に耐えていた。
そして、その間ラクは盾の隙間からセオシルを見ながら『数』を数えていた。
「1、2、3、4、5、 1、2、3、4、5、 1、2、3、4、5、…」
必死で攻撃を耐えていたラクだったが、徐々に体力を奪われ、ついには盾を弾き飛ばされた。
ラクはすぐに木刀を持とうとしたが、セオシルはファンのように甘くない、盾を飛ばした瞬間、ラクの頭を木刀で叩いた。
「バッキ~ッン!!!」
「い″ッ!!!」
「ドッシャ~ン!!!」
ラクは吹き飛ばされ、ちょうど僕達の手前まで飛んできた。
「ラク!!!」
ミウは身を乗り出し叫んだ。
「勝負あり!!セオシル!!!」
審判の声と共に、観客席からは、まばらな拍手と、諦めのため息の声が上がった。
セオシルはそんな声など全く気にする事もなく、オリアンに向かって木刀を差し、「次はお前だ!」とばかりに睨み付けていた。
ラクの両親、妹のスンも諦めかけていたが、僕とミウ、なによりラク本人が諦めてはいなかった。
ラクは立ち上がると、僕を見て、大きく頷いたのだ。
僕はミウの手を握り、
「大丈夫、ラクはきっと勝つよ。」
と、呟いた。その声に反応するかのように、僕の手を握るミウの手にも力が入った。
ラクが中央にもどり、2本目が始まった。
「2本目!始め!!!」
セオシルは1本目と同様、合図と同時に飛び出して来た。
「これで終わりだ~!!!!!」
「ガン!ガンッ!ガン!ガン!ガン!」
「バシッ!」
「カラカラカラカラ~ン…」
「ヤ~!!!」
「ガン!」
「痛た!」
「ガタッ!」
試合を見ていた、オリアンが驚きの表情でイスから立ち上がった。
そして会場中も水を打ったように静まり返っていた。
審判も何が起こったのかわからない様子で、立ちすくしていた。
ただ目の前にあった光景は、セオシルが木刀を落とし、ラクの一撃がセオシルの頭に決まった。という事だけだった。
そのうち観客がざわめき始めた。
「お、おいあれって…」
「ああ、ラクの勝ちだよな…
「ラクが勝った…」
「ま、まさか…ウソだろおい…」
「お~い!審判~!ラク勝ちだろ~!!!!」
そして、審判も我に帰り、
「ラクの勝利!!!!」
と、審判が宣誓した瞬間、今まで無いぐらいの声が闘技場を揺るがした。
オリアンの隣で見ていたスラインも、
「オ、オリアン、何があった?何が起こったんだ?」
オリアンは驚きの表情のまま、
「あ、あの野郎、き、気付いたのか?い、いや、まさかな、ぐ、偶然だろ…」
何が起こったのかわからなかったのは、本人セオシルも同じだった。
「な、なんだ?何が起きたんだ?何故俺がこんなヤツに負けてる?
い、勢いがつきすぎて、手が滑ったのか?」
セオシルは気を取り直し、木刀を拾うと、大きく「フ~~」っと深呼吸をした。
「偶然だ、偶然に決まってる…落ち着け、いつも通りやればあんなヤツ…」
しかし、一度生まれた動揺は、そう簡単には収まらない。
セオシルの剣はさらに大振りになりラクを襲った。
しかし…
3本目も、2本目と同様、セオシルが木刀を地面に落とし、ラクの一撃が今度は仁王立ちになったセオシルの胴を凪ぎ払った。
「勝負あり!!!勝者!ラク!!!!」
審判の声が響いた瞬間、客席に居た人達が、次々と闘技場に雪崩れ込んできた。
そしてラクを取り囲むと、胴上げが始まった。
「ラ~ク!ラ~ク!ラ~ク!ラ~ク!ラ~ク!ラ~ク!ラ~ク!ラ~ク!…」
そんな中、膝をつき、信じられないという表情で地面を見つめている人物がいた。
セオシルだ、セオシルは青ざめた表情で、力なく立ち上がると、1人控え室に帰って行った。
そんなセオシルを見ていたオリアンは、
「まったく、あのバカ、あの癖だけは、あれほど直せって言ったのに…」
「癖?」
ミウが僕に聞いてきた。
「うん。セオシルって盾を持っていないでしょ?あれはセオシルが器用で両手使いだからなんだ。」
「両手使い?」
スラインはオリアンに尋ねた。
「ああ、アイツはどちらの手でも、同じように剣が振れる。これは戦場においては、かなり有利だ。例え利き腕をケガしても、反対の手で同じように戦える。両手に剣を持って振り回してもいい。だからあえてアイツは盾を持たない。」
「そういえば、盾を持っていなかったわ。どうして?」
「両手で剣を持つのも盾を持たない理由の1つなんだけど、セオシルって、前は今みたいに体力がなかったから強くなかったでしょ。だから、頭を使って戦ってたんだ。」
「だからよ、俺が体力がねえなら、体力が無くなる前に、相手を倒しちまえ。って言ったんだ。」
「なるほどな、あの雪崩のような攻撃は、お前の作戦か。」
「ただね、体力がなかったせいか、剣を振るのは片手で5回が限界だったんだよ。5回攻撃をすると剣を持ち替えて、さらに5回でまた持ち替えるんだ。」
「それで1本目は数を数えさせたのね。」
「ヤツは人間の急所や、構造なんかはよく知ってたからな、コツさえつかめば、後は体力をつけるだけだった。
ただ、あの5回に1回、手を持ち替える癖は、染み付いてしまって、なかなか直らねえ。今のヤツなら片手で千回剣を振っても平気なはずなんだかな。」
「癖か…確かに大勢が入り乱れた戦場なら、気付くヤツも居ねえか、もし、気付いたとしても、なんの問題はねえな。」
「ただね、こういった1対1の戦いで、さらに剣が1本しか持てない場合は別だよ。その癖は命取りになる。5回に1回は持ち替えるのがわかってるんだから、5回目の攻撃の後、剣を持っていない方の手を少し叩くだけでいいんだ。」
「そうすりゃ、行き場を無くした剣は宙を舞い、地面に落ちる。盾を持っていないセオシルは無防備ってわけだ。
俺なら、すぐに後ろに飛ぶんだが、セオシルにそんな器用な真似も出来るはずもねえ。まあ、パニクってそれどころじゃなかったろうがな。
しかし、ラクがセオシルの癖を知ってるとはおもえねえ、と、いうことは…」
オリアンは改めて、僕達の方を見た。
その時、大勢の人にもみくちゃにされているラクの近くに居たミウは、人の手が被っていたフードに当たり、白い髪が一瞬だけ覗いた。
オリアンは、その一瞬を見逃さなかった。
「白い髪?ラクの姉?ミウか?ということは、もう1人の黒いヤツは…
フフフフ…アハハハハハハ!!!」
いきなり笑いだしたオリアンにスラインが、
「お、おい!どうしたオリアン?弟子が負けておかしくなったか?」
「アハハハハ…いやな、ラクの後ろには、とんでもねえヤツがついているらしい。」
「とんでもないヤツだと?」
「ああ、あのラクの側に居る、黒いローブを被ったヤツらだ。どうやら、あいつらがラクにセオシルの癖を教えたらしい。」
「誰だ?一体?」
「たぶん『タ…』いや…なんでもねえ、ただ、弟子をコケにされて、師匠としては、黙ってられねえからな。この借りはキッチリ返させてもらうぜ。」
「お前、なんだか嬉しそうだな、笑ってるぞ。」
「そう見えるか、戦う前に、こんなにドキドキしたのは始めてだぜ。悪いなスライン、お前の出番はねえかもな。」
「な、なんだと!?お前が負けるって事か??」
「そんなはずねえだろ!ただな、お前と戦うより、おもしれえもんを見つけちまった。この戦いの後は、たぶん戦う気力も無くなっているだろうよ。」
「なるほどな、まあいい。もしお前が負けたら、俺が仇をとってやる。ハハハハハ!」
「フン!言ってろ、バ~カ!」
まだ闘技場の中では興奮が収まってなかったが、審判の声が響いた。
「これより1時間後に、『タロウ』の名を賭けた、『オリアンタロウ』対『ラク』の一戦を行います!!!」
そして、ラクは、観客の1人に肩車をされたまま控え室に戻って行った。
その後を、泣きながら抱き合った両親とスンも後に続いた。そして僕らは、人が居なくなるのを待って、さっきの門番をしていた衛兵に手招きをされ、控え室の中に入っていった。
部屋に入るやいなや、ミウはラクに抱き付いた。
「ラク!おめでとう!凄いじゃない!!あのセオシルに勝ったのよ!」
戦ったラクより、ミウの方が興奮しているようだ。
僕は拳を握り、腕を上げると、ラクも同じように腕を上げ、お互いの腕と腕を「トン!」と当てた
「やったじゃないかラク。」
するとラクは、照れ臭そうに、
「お兄ちゃんの言った通りにやっただけだよ。」
「言われて、すぐに出来る事じゃないよ。ラクの実力だよ。」
ラクは、はにかみながらも、
「でも、次はあの『オリアンタロウ』でしょ、さすがに勝てないよ。」
そんな不安そうなラクを見てミウが、
「ねえ?タロウ、オリアンにセオシルみたいな『癖』って無いの?」
僕は腕組みをし、
「う~ん、オリアンに癖か~…、思い浮かばないな~。オリアンの場合、多少の癖があっても、あのスピードで帳消しになるからなあ~…、動きを封じる事が出来たら…………あ!」
僕は、ある事に気付き、すぐに門番をしている衛兵に確認をした。
「ねえ、衛兵さん?盾って鉄じゃなくてもいいのかな?ほら、ラクって小さいし、鉄だと重いから、オリアンと戦うなら、それくらいいいよね。」
「はい!タロウ様!別に規則はありません!剣じゃなく、木刀なので『木』でも良いかと。ただ大きさだけは規定があるので、それだけは守って下さい。」
「ありがとう。もしかしたら、また面白いものが見れるかも。フフフ…」
と、僕は意味ありげに微笑み、部屋の中に戻った。
部屋の中に戻ると、近くにあった木の板をくり抜き、盾を作った。
その場に居た全員が、僕の行動を不思議そうに見つめていた。
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