拝読し終えたとき、舌が融けるように熱かった。もう降車駅についているというのに、電車の中で少しの間動けなかった。彼らの劣情を知っているとは言い難いけれど、この痺れるような熱さは、きっと私がこの物語に美しさを感じた証拠なのだと思う。最後の一文へ向かっての文章の構成が好きだなと思いました。
マイペースに更新していきます。 暗い小話が多くなると思います。
夏の終わり。汗ばむ素肌の匂い、田舎の空気、朽ち果てた家に奇病の姉。蝶にも蛹にもなれなかった彼女とその弟は、人間だとすら思われていなかった。そして芋虫にもなれなかった。
簡潔でいて鬱々とした、それなのにどこか綺麗なストーリー。この世界はこれでいいのだ。世間から見ればどのような価値観なのかは問題ない。ただ「僕」にとってはこれでよかったのだと、この世界は美しいのだと、…続きを読む
なんと美しい物語だろう、というのが読了後に初めて抱いた感想だ。恐ろしく純粋で何よりも淡々とした、少年の青い狂気が静かな森の香りと共に漂うような──そんな、美しい物語。恋というにはあまりに重く、愛…続きを読む
人々は所詮一個の他人であるわけで、恋人家族という関係をもそれを覆すことはできない。別れの形は様々にあるわけだが、死による別離は永遠でもある。それは断絶でもあるし、はたまた現実と切り離された救済で…続きを読む
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