第6話 主と遊戯

 僕はリビングルームで天邪鬼と一緒にトランプをしている。

 なぜトランプをしているかと言うと、天邪鬼が知っている遊戯(ゲーム)がこれしかなかったからだ。

 そして、天邪鬼は自分の手札を見て唸っている。

 言い忘れたが、今僕たちがやっている遊戯(ゲーム)は『ババ抜き』。

 ババ抜きも天邪鬼が出来る唯一のトランプ遊戯(ゲーム)だからだ。そして、今の状況は僕が有利な立ち位置でいる。枚数としては十二枚。天邪鬼は十三枚である。

 「ほら、次はお前の番だぞ」

 僕は気難しい顔をしてトランプを見ている天邪鬼に言う。

 「わ、わかってるよ。う~ん、これにした!」

 僕からカードを引いた天邪鬼は嬉しそうな顔をしながらペアになったカードを捨てる。

 僕は無言で天邪鬼からカードを引きペアカードを捨てる。

 天邪鬼も僕のマネをしているのか、無言でカードを引きペアカードを捨てる。

 それを繰り返し七回目。ついに手札は僕が二枚、天邪鬼が三枚となった。

 僕は、また無言で天邪鬼から一枚引くが、残念ながらジョーカーを引いてしまい揃わなかった。

 天邪鬼が僕から一枚引くと、嬉しそうに揃ったカードを捨てる。

 「これで、従僕の負けだね!よかった」

 「ちっ。途中まで僕に負けてたのに最後にジョーカーを引くなんて、僕も運が無いな」

 「そうだね!従僕は運が無かったんだよ!」

 天邪鬼はとても嬉しそうに僕をディスる。

 「じゃあ、これで終了!」

 僕は最後の一枚を引いた。

 「じゃあ、次は何で遊ぼうか?」

 「う~ん。僕もそこまで遊びを知っている訳でもないし、もう一回ババ抜きしようか」

 天邪鬼の提案によりもう一回ババ抜きをすることになった。

 結果は無残なことにまた僕が負けた。

 「なぜ、負けるんだ?今回も途中まで勝っていたのに」

 「やっぱり、従僕は運が無いんだよ~」

 負けることに納得がいかない僕はもう一回ババ抜きをすることにした。

 結果は、また負けた。そして、再戦をする。それを繰り返していたら、いつの間にか夕方になっていた。

 「そろそろ、終わりにしよう。母さんが帰って来るから」

 「そうだね。僕も疲れたよ。全く君は負けず嫌いだね……」

 「正直言って、僕自身驚いているよ。まさかここまでしつこくなるなんて思っても無かったよ」

 僕は簡単にトランプを片付けて自室に向かう。天邪鬼は付いてこなかった。

 

 残りの夏休みは天邪鬼と遊んだり、夕里と三人で遊んだりとした。

 そして夏休みは終わり今日は八月二十七日。始業式の日であり、二学期の始まりでもある。

 僕は目を覚まし時計を見ると、八時二十分を指していた。

 「!!マジか。今日に限って目覚まし時計が鳴らないなんてやはり運が無いのだろうか?いかん、こんなことを言ってないで準備をしないと!」

 僕は急いで制服を着て、家を出る。そして、自転車に乗り学校に向かう。

 今日はあの時とは違い、食器の音やテレビの音が聞こえた。僕は少しホッする。

 目の前には校門が見えてきた。自転車を駐輪場に止め、教室

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