第5話 生還と驚愕
僕は無数の妖怪たちから追いかけられている。
今は、学校を抜け住宅街を走っている。
僕を追いかけているのは謎の少年『七五三田印』が使役している妖怪『百鬼夜行』。
百鬼夜行は日本の御伽噺に出てくる妖怪がまとまり、深夜に徘徊するというものだ。その軍勢がいま僕を殺そうと追いかけている。
「何をしたらいいだ。住民がいないのと何か関係しているのか?だとしたら……いや、それは無理だ。だけど、もしや……」
僕はもう一度学校に向かって違う道に走り出す。
学校に行って、こいつらの主である七五三田を倒せば住民も戻り、妖怪も消えるだろう。多分だけど。
走っているうちに学校が見えてきたと思ったら、前方に白い布を被った『あいつ』がいた。
そしてあいつは僕に向かって走り出した。
「まさか、挟み撃ちにするつもりか」
だけど僕はあいつに向かってタックルを繰り出す。なんと見事にヒット。あいつは壁に向かって跳んでいった。
「僕の攻撃は妖怪にも効くんだな。覚えておこう」
僕は校門をくぐり最上階の教室に向かう。
そして、最上階の教室には七五三田がいた。
「七五三田!お前を倒す!」
「やっと、気付いたんだね。来い!東雲蒼!」
僕は右拳を固め、七五三田の頬に向かって殴る。
七五三田は防御も何もせず突っ立っている。まるで、殴られるのが当然かのように。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
僕は全体重を右拳に集中させ七五三田の右頬を殴る。
殴られた威力によって、七五三田は窓側の壁から黒板に飛んで行った。
そして殴られた七五三田は泡を吹きながら失神していた。
七五三田がダウンしたせいなのか、妖怪が追いかけるのをやめていた。そして、住民も戻ったのだろう声が聞こえる。
僕は時計を見ると、まだ八時だった。僕からすれば3時間は経過していた。
「まさか、結界内だと時間が進まないのか。よし、走って疲れたし帰るか」
僕は失神している七五三田を教室に置いて家に帰った。家ではちゃんと天邪鬼がいた。
「おかえり~どうしたの?帰って来て」
「ちょっとあってな、シャワー浴びてくる」
「いってらっしゃい」
僕は従僕である蒼の記憶を見ていると、見たことのない少年が写っていた。
「誰?この人」
さらに、見ると驚くことが……
「え!この人も妖怪を使うの!えっとー名前は……『百鬼夜行』だって!じゃあ、従僕はこれを倒してきたというの?……まずい、あのことをついに知られた。怒っているかな?」
僕は従僕が眷属化の真実を知り驚くが、僕は知っている。
3か月経っても奴隷化を回避する方法を。
僕はシャワーを浴び終え、自室に行く。
時計を見ると、八時二十五分だった。
「まだこんな時間か。天邪鬼、いるか?」
「なんだい?」
天邪鬼は壁を貫通して出てきた。
「百鬼夜行って知ってる?」
「知ってるよ。あいつらはそこら辺の妖怪より強いよ。少なくとも僕が知っている中では帰って来たのは、いない」
「本当に?」
「本当さ。君、さては今僕が逆さ言葉で話しているとでも思った?今日はそういう気分じゃなくてね」
僕は衝撃を覚えた半面、驚愕した。だって、百鬼夜行と戦うって帰って来たのがいないって、僕が帰ってこれたのは奇跡と言っても過言ではない。そして、気分で逆さ言葉を使うことを止めていることに。
「そう……なんだ。天邪鬼はこれからどうするんだ?」
「今日は家でゴロゴロする予定だけど、一緒に遊ぶ?」
「じゃあ、そうしようかな」
僕は天邪鬼と一緒に階段を下りてリビングルームへ向かう。
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