第5話最初で、最後の願い

「何だ?」


お前に何も残すことのできない、そんな俺に。

何か一つでも、一つでもいいから、できることがあれば、、、


「、、、、キスをしてくれないかなぁ?」


「いいぞ。」


そうして、俺たちはキスをした。

今まで生きてきた中で、キスなんぞ何度もしてきたが、

今回のキスは特別だった。

だって、俺が愛する人との、

最初で、最後のキス。

それは、甘くて、ほろ苦い。

ああ、この時が永遠に続けばいいのに、、、、

そう願ってしまった。


「ありがと。」


「焔、俺、遠くへ行くことになった。」


「え?どれくらい遠く?」


「ものすごく遠く。たとえるなら、地球の反対側くらい。そしてそこには誰もいないんだ。」


「蒼と離れるなんて、そんなのイヤ。私も行く!」


俺だって、できたらそうしたい。

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