第5話 CDM理論
「完璧ではない標準モデルを完璧にするために補完されたのがCDM理論です」
「冷たいダークマター(CDM: Cold Dark Matter)理論はP・J・E・ピープルスによって考え出されたモノですが、その後の研究で、標準モデルの問題点やさらに別の問題をも解決していました。そして、まだ証明されていませんが、いくつかの興味深い予言もしています」
「これまた難しそうじゃの〜」
「頑張って下さい。この話の中に真理が隠れています」
「このCDM理論は四つの仮定を基礎にしています」
「① 星や銀河といった見える物質は宇宙の質量の約1パーセントにすぎない。残りは見えないのだ(見えないというのは透明であるという意味ではなく今までのところ観測されていないという意味である)」
「② このダークマター(暗黒物質、つまり見えない物質)は人類に知られているモノ以外の素粒子で出来ているということ、そしてこの素粒子は〈冷たい〉という仮定である。ここで〈冷たい〉というのは物理用語で、この素粒子の平均速度が光に較べて非常に遅いという意味である」
「③ 宇宙はビックバンのあと一定の間ターボをつけたように爆発が加速され、想像を絶する急速な膨張の時期を経たということ」
「④ 銀河が生成された領域は特にダークマターが濃かったところのみだということ」
「この四つの仮定は、証明されてはいないが不合理なものではありません。もし冷たいダークマターが存在するとすれば、それは電磁波とほとんど相互作用をしないのでムラのある物質の分布と一様なマイクロ波の分布という矛盾は解決されます。マイクロ波背景放射に消し難い痕跡を残すはずの普通の物質と違って、冷たいダークマターは背景放射に何の痕跡も残さずに、あるいは現在の観測にかからないほど小さな痕跡を残すのみで、現在見られる宇宙の構造のもとをつくることができるからです」
「おぉ!それは、、、宇宙の謎が解けたということか?」
「ウフフ」
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