セーバルの目的
「すみません、でも園長さんなら成功させてくれると信じてましたよ。」
笑顔でそう言ってくるミライさん。
「そうは言いましても、ほんっとうに大変だったんですよ!何にも伝えられてないのに!たぶんちょっとバレてると思います。」
「まぁまぁ、おそらく大丈夫なはずです!みなさん笑顔でお話ししてますし!」
「はーっ、……そういえばどうしてこんなことしたんですか?確かにこの景色は最高ですけど…。」
そんな事を言いながら彼女達の方を見る。
どうやらいろんなお話をしているようだ。
「結局、園長が変になったのはこれが原因だったのかな?(全然気づかなかったー!)」
「ま、たぶんそうでしょ。(実はちょっと気づいてたり)」
……やはり、カラカルにはバレていたか。
「それにしても綺麗だねー!あの夕陽!ここセーバルが見つけたの?」
お!いい話の逸らし方だルル!
「うん。でも厳密にいえば、ガイドさんに手伝ってもらった。」
「へー!そうなんだ!」
「はいはーい、しつもーん。どうして私たちをここに呼んだのー?」
フェネックが小首を傾げながらセーバルに問いかける。
「………よし。」
セーバルは小さな声でそう言うとそのまま崖の先へと歩き出す。そして立ち止まった。
「………みんなのおかげで、セーバルはフレンズになれた。元はセルリアンだけど、でも、みんな受け入れてくれた。」
手はギュッと握り締められて、尻尾は左右に小さく、素早く揺れている。
「嬉しかった。サーバル、セーバルに友達って言ってくれた。塩を食べて苦しんでまでセーバルを助けようとしてくれた。」
「セーバル…。」
「みんな、セーバルのためにいろんな場所を駆け巡って、空を飛んで、海を渡ってまで助けに来てくれた。」
「アライさんとフェネックも、初めはセーバルを倒そうとしてたけど、最後にあの映画を見せてくれた。」
「………みんなをここに呼んだのはこれが言いたかったから。」
意を決したように尻尾はまっすぐ地面へ伸びて止まった。そして振り向いた。
「ほんとうに、ほんとうにありがとう!!」
セーバルの目からは涙が溢れ出していた。
でも頬を赤く染めた笑顔だった。
背中には大きなまんまるの火の玉が、暖かく浮かんでいた。
「………、うぅ、うわあーーん!セーバルー!ずっと!ずっとずぅーっと!友達だから!」
サーバルが大泣きしながらセーバルに飛びついた。
セーバルは驚いた顔をしていたけども、やがてそれは柔らかい笑顔になった。
「よしよし、泣きやめ。泣きやめ。」
「ひっぐ、ひっぐ!ごめんね、本当に泣きたいのはセーバルなのに…!」
「もう、充分泣いたからへーき。」
夕陽の前で抱き合う二人。その光景は、さっきの夕陽だけの時よりもずっと美しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます