全員集合!

今日の園長ってなんだかヘン。

どうしてあんなに考え事してるんだろう。

それに私たちがセーバルのことをそれとなく聞いたらすっごい汗流して話を逸らそうとするし、うーん、何を隠してるんだろう。


あ、でも園長のなでなではいつも通り気持ちよかったよ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 木の下に集まり、黄色い声をあげて喋り合う園長たち。アライさんが武勇伝を話していたそうで、その事についてみんな笑っていた。

 アライさんが笑い話じゃないのだ!と訴えるが、それでも皆の笑いは止まらず。初めは気に入らなかったアライさんだが、いつの間にか皆の笑いにつられて笑っていた。

 すると今度はカラカルがサーバルをからかいはじめた。その内容はサーバルがドジだの食いしん坊だの。恥ずかしくなったサーバルは園長の背中に回り込み、へばりついて泣き言を言った。そこですぐにカラカルがそういうところが可愛いんだけどね。と言うと、サーバルは複雑な気分になったものの園長の陰から出てきた。


 そんなこんなで騒いでる内にもサバンナの青空に浮かぶ太陽は徐々に西の空へと落ちて行く。それに伴い、空に赤みが浮かび出てしたことから園長は時計を確認した。


 時計にはこう表示されていた。

 ーーー3時40分と。


「………………え?」


 園長は慌ててみんなにそれを伝えると驚き慌てだした。


「ど、どうなってんの!?ルルたちに何かあったのかしら?」


「やー、どうしたのかな?ただの遅刻とは思えないなー。」


「わわっ!ど、どうしよ園長!」


「私が空から探すわ。みんなは私に続いて。」


「いや!みんなはアライさんに続くのだ!なぜならアライさんは強い…」


「おーーーーい!みんなーーー!」


 アライさんが何かを言おうとしたところで突然声が響き渡った。

 皆がその方向を見るとそこにはルルたちの姿があった。


「ルル!なにかあったの!?ていうかこの時間になるまで何してたのよ!」


「あー、ごめんね。ギンギツネの時計が壊れててさ、空を見てようやく気づいたんだ。」


「おかしい…私の発明品に失敗作はないはずなのにどうして…。」


「だとしてもこの遅さは何よ!別れてから二時間ぐらい経ってんのよ!?普通気づくでしょ!」


「聞き込みしてる途中に話が盛り上がっちゃってさ、ほんとにごめんなさい!」


「はぁ…次からは気をつけなさいよ、心配したんだから。」


「ほんとうに申し訳ないですわ。くっ、体内時計には自信があったのでしたけれど、それになんだか時間が経つのが早くなってるような…?」


「会話に夢中になってたからじゃないかなー?」


「あら、あなた方がどうしてここに…。」


「アライさんも、ガイドさんに巨大セルリアンの退治を頼まれたのだ!だからここにいるのだ!」


「そうそう、まとめ役は園長に任せるだってさ。」


「そうだったのですか…、さて、そろそろ報告をせねばなりませんわね。ルル殿。」


「あっ、セーバルについてわかったことなんだけど、最近よくガイドさんに会ってたんだって!」


「ガイドさんってミライさんだよね?どうしてなんだろう…?」


「みんな、この話は長くなりそうだから先に巨大セルリアンを倒しに行こう。」


「え!?ど、どうして!セーバルをほったらかしにするの!?」


「あー、セーバルは巨大セルリアンを倒しにいく道中に居るから。それに時間が経ち過ぎたら移動しちゃうでしょ?」


「…本当なんでしょうね?」


「…信じて。」


 はぁー、とみんながため息をついた。

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