しんぱい

 セーバル、一体どこに行ってしまったんだ?

 気づけば不安ばかり心に積もっていた。サバンナの太陽は今一番輝いているのに、私の心はどんよりと暗い泥の底を彷徨っていた。


「…どこに行っちゃったんだろうね。」


 サーバルが静かにつぶやいた。

 いつもは太陽を連想させる彼女だが、今回ばかりは朝焼けのようだった。


「どうしてだろう。いつもならこんなに心配しないのに、なんでこんなにセーバルが心配になるの?」


 …?、そういえば、そうだね。

 確かに、どうしてこんなに心配してたんだ?

 その事に気づいた瞬間私の心は泥を抜け出し、霧の立ち込める地上に出ていた。


「全く、サーバルは心配しすぎなのよ。ちょっとはあの子を信じてあげなさい。(と言っても、私もちょっと心配なんだけどね。)」


「うぅ、それもそうだね!」


「ですが巨大セルリアンが出てる以上何も警戒しないというのもまずいですわ。太陽が沈みましたらすぐに探しましょう。(もしかすると…巨大セルリアンとセーバルに何か関係があるかも知れないですわ。)」


「なら私は探すときに便利な道具でも作っておくわね。(耳栓作っとかないとみんなも大変だろうし。)」


「むふふ、私はセーバルを探すための歌を考えとくわ。」


「みんな元気戻ってきたみたいだね!よかったよかった!」


 …シロサイの考え通り、なにかセーバルと巨大セルリアンにはなにか関係があるかも知れない。

 そもそも女王を倒した後巨大セルリアンなんて一度も出た事もなく。(一部宇宙人や公安9課のロボットが来た時などの例外があるが)今になって、しかもフレンズも訪れないような場所に現れるなんて何かがおかしい。

 ん?おかしいといえばもう一つなかっただろうか…、そうだ、ミライさんからの連絡だ!

 なぜかミライさんの連絡はかなり都合のいいときにかかって来ていた。これだけならただの偶然で片がつくのだが、実はそういうわけでもなさそうだ。

 そう。あの連絡中、カラカルは一度も声を発してないのにミライさんはそこに居るサーバルとカラカルと後から来るフレンズと言った。

 つまりミライさんはあの場にカラカルが居たことを知っていた事になる。

 …もしかすると私はミライさんにずっと監視されていたのだろうか?

 だとすると一体何のために?

 私の思考はここで止まってしまった。


「ねぇ、園長。またすごい顔してるってことは難しい事考えてるの?だったらさ、もっと楽しいことしようよ!」


 気づけばサーバルは私の腕にへばりついてその大きな目で私をジッと見つめていた。尻尾はゆらゆらとゆっくり左右に揺れていて、ふと周りを見てみると皆心配そうな顔をしていた。


 …うん!じゃあ、久しぶりに会ったんだからお話でもしよっか!

 私がそう言うとみんな満面の笑顔でうんっ!と賛同してくれた。


 …お話ししてる途中に心の声が聞こえてきてはオチもすべてわかってしまってつまらないので補聴器の電源は切っておいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 気がつくとすでに太陽は先ほどの位置よりも下に下がっていた。

 気温も真上にあった時よりははるかにマシだった。

 さて、では探しに行こう。

 私がそうみんなに提案するとみんな受け入れてくれて、次々とその場を立っていった。


「でも、どこを探すのよ。サーバルは何か知ってるかしら?」


 ギンギツネが疑問の声をあげるとサーバルはすかさず答えた。


「えへへ、実はこの前セーバルを脅かそうと思ってて後をつけてたら大量のジャパまんが隠されてる場所にたどり着いたんだ!もしかしたらそこにいるのかも。」


「なるほどね。サーバルみたいに食い意地の張ってるあの子ならありえるわね。」


「ひどいよカラカル!私もセーバルもそんなに食い意地張ってないよ!」


「じゃあサーバル!案内してよ!」


 ルルが笑顔でそう言うとサーバルはバツが悪そうな顔をして


「いや〜、その〜、…忘れちゃった。」


「はぁ、やっぱりサーバルはサーバルね。」


「ぐ、ぐぬぬぅ、カラカルの言うことを否定できないのがくやしいよぉ!」


「サーバル、その隠された場所って何か目印とかなかったかしら?」


 ギンギツネが聞くとサーバルは目を閉じて思い出そうとして、


「そうだ!たしかあそこにはとっても大きな岩があったよ!」


「なら私が空を飛んで探すわ。」


「ありがとうトキ!じゃあみんなでレッツ…」


「サーバル様、少し待って欲しいですわ。セーバル様を探すのでしたら手分けして探した方がいいと思いますわ。巨大セルリアンもずっとあそこにいるとは限りませんし、早めに済ませないとまずい事になりますわ。」


「うーん、それもそうだね。」


 じゃあサーバルとカラカルとトキはセーバルの隠し場所を探しに行って、シロサイとギンギツネとルルはこの近くのフレンズにセーバルの姿を見なかったか聞き込みしに行ってもらうってのはどうかな?


 私が提案するとシロサイは頷いて


「それがいいですわ。では集合場所はこのセーバルの縄張りで、時間は…誰か時計を持ってまして?」


「私のこのドコデモジカンガワカールZがあるから大丈夫だわ。園長がサーバルの方へ行けば解決するわね。ちなみに今の時間は14:04よ。」


「では、再びここに集まるのは15:00にしましょう。」


「わかったわ。ほらサーバル、トキ、園長、行くわよ。」


「はーい!じゃあまた後で!」


 こうして私たちは手分けしてセーバルを探す事になった。

 私たちとシロサイ率いる彼女たちは別々の方向へと歩き出した。












「……あ、サーバル達に耳栓を渡すのを忘れてたわ。大丈夫かしら?」

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