ネコの戯れ
「まちなさぁぁぁぁい!!!」
「ぎにゃあ!?ご、ごめんよカラカル!ゆるしてよー!」
追いかけてくるカラカルから逃げるサーバル。
時々カラカルがサーバルに追いつき、その度にネコパンチをサーバルにいれる。
パシーン!と大きな音が出てる上にサーバルが涙目になっているので、威力は相当なものだろう。
「痛い!痛いよカラカル!もう二度とカラカルのお昼寝を邪魔しないからやめてよ!」
「本当かしら?そう言っといてまた私の昼寝を邪魔するんじゃないの?」
「そんなー!ほんとだって!信じてよー!」
ただただ逃げるサーバルをカラカルはずっと追いかけ回している。
ボーッと見てるだけの私はふと写真を撮ろうと思い、膝をついて、カメラを狩りごっこをするサーバルとカラカルに向けた。
たまに木の上へとジャンプしたり、サーバルがドジを踏んでつまずきそうになったところをカラカルが一撃を入れたりなど、二人は縦横無尽にサバンナを駆け回る。
しかし、そんな二人も徐々に疲れてきたのか、息を巻いていた。
「はぁ…はぁ…あんたいい加減におとなしく捕まりなさい!」
「い、今捕まったら何されるかわかんないよ!」
「大丈夫、いっぱいもふもふするだけだから!」
「絶対ウソでしょそれ!?もしそうだったとしてもイヤだよ!」
「まったく仕方のない子ね、えぇい!」
いい加減に狩りごっこを終わらせたいカラカルがジャンプして一気にサーバルとの距離を詰めた。
「ひ、ひぃ〜!」
対するサーバルも捕まりたくない一心で咄嗟に横へ飛ぶ。
すると、サーバルの視線の先に私が映ったせいか、まっすぐこちらへ走ってきた。
「うわーん!助けてー!」
このままだとカメラがまずいのですぐにリュックの中へカメラをしまう。すると丁度サーバルがこちらへダイブしてきた。
ぐえっ!と変な声を出しながら、私はそのまま地面へと押し倒された。
「園長!?どうしてここに…」
「はぁ、はぁ、園長はね、一緒に遊ぶために連れてきたんだよ!」
「遊ぶ?って一体何を?…まさか私を驚かすために!」
「ち、違うよ!みんなともう一度冒険したいなぁ、って思ったの。ここに来たのもカラカルを誘いに来たんだよ!ほら、カラカルも冒険楽しかったでしょ?」
「まぁ、確かに楽しかったけど。」
「でしょ!だからみんなでもう一度…」
「でも今特に冒険する目的なくない?」
「え?……あっ。」
あ、そう言えばそうだ、確かになんの目的もない。
あの頃はセーバルを追う。そして女王を倒すという目的があったのだが今は特に何もない。
うーん、何か面白そうな事はなかっただろうか。
すると、私の腕につけられたレンズの様なものが緑色に光り出した。
これもミライさんから研究・実験用に渡されたものである。
最新の技術が使われてるそうで、いつ、どこにいても連絡が取れる優れものらしい。
さらにマップなんかも使えるそうだ。パークの物であれば検索して位置を確認したりなんかもできるらしい。
さらに、これには音声認識がついているので、使い方を知らない人でも簡単に使えるようになっているのだ。
近々これを元にAIなんかも取り付けてパークガイドロボットを作り出そうと考えてるそうだ。
私はレンズの様なものに向かって応答、と言った。
「もしもし、どうですか?園長さん。ちゃんと聞こえてますか?」
「あ!この声、ガイドさんだ!やっほー!」
「その声はサーバルさんですね!ということは無事繋がっている様ですね。良かったです。」
ミライさん、どうしました?と私が言うと
「園長さん、実は調査して欲しいところがあるんです。マップを見てください。」
私はレンズの様なものに向かってマップと言うと、すぐに地図が浮かび上がってきた。地図は今いるところを中心に捉えている。
「出せましたね?でしたら今から言う座標を検索してください。いきますよ?」
ミライさんの言ったことを私が復唱していく。するとある場所が検索された。
そこはここから少し遠いところにある崖だった。
「実はそこで大型セルリアンの出現が観測されました。なのでそこにいるサーバルさんとカラカルさん、そして後から来るフレンズさん達と協力して大型セルリアンを撃破してください。」
分かりました。でも後から来るフレンズとは?と返答する。
「ふふ、もうじきそちらに着くのですぐに分かりますよ。ではまた後ほど!良い旅を!」
「またね!ミライさん!」
すると通信が切れたのか、レンズの様なものから緑色の光は消えた。
私は先ほど指定された崖を目的地に設定した。
…しかし、今の通信、何かおかしかったような。
まぁいいか。と気にすることをやめるとサーバルが話しかけてきた。
「巨大セルリアン、ちょうどいい冒険の目的ができたね!」
「そうね、でも後から来るフレンズ達って誰のことかしら?」
「…みゃ?何か足音がいっぱい聞こえるよ。この音は。」
「やっほー!みんな!元気にしてた?」
そこには意外な、そして懐かしい顔が揃って居た。
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