第3話
物語に出て来る女キャラはとても重要になって来る。所謂、ヒロインというやつだ。このヒロインが可愛いか可愛くないかで観るのをやめる奴もいるぐらいだ。
もしかしたらヒロインの差がありとあらゆる創作物の評価に直結するのかもしれないと僕はバイト中に考えていた。
何故こんなことを考えていると言うと、学校で夏目が言ってた『ツンデレヒロインが一番可愛い説』を聞き流していたからからかもしれない。
「先輩。ぼーっとしてないで仕事してください。」
喉仏の所有が感じられない、所謂、女の子の声が聞こえる。浅尾春子。この喫茶店でバイトする一個下のJKという生き物である。
「喫茶店はゆっくりするところだろ?」
「先輩は従業員側なんで、その考えドブに捨ててください。アイスコーヒー1つ早く作ってください。」
喫茶店でコーヒーに色が似てるドブとか言うなよ。客足が遠のくだろうが。おじいちゃん泣いちゃうよ。
「ほら、早く持ってけ。」
「仕事は早いですね。頂きます。」
そう言って浅尾はそのアイスコーヒーを楽しみ始めた。なんでお前が飲んでんねん。
「何飲んでるんだよ。」
「休憩入ったんで。」
「…ごめん。」
至極真っ当な理由でした。
浅尾は夏目と違って口数が少なく感情も薄い。僕にも何故か刺々しい。逆に好きなのではと思うぐらいには刺々しい。
「浅尾は部活とかやらないの?」
「興味ないですし、興味ないのに聞かないでください。気を遣おうとしないでください。」
「深読みするなぁ…」
「ミステリーものが好きなんです。」
「聞いてないけども。まぁ浅尾も好きなものあるんだ。」
なんか全ての物事を同じ価値として見てそう。
「結構好きなものは多いですよ?先輩もそこそこに好きです。」
そう言って浅尾は軽く微笑んだ。
「…ありがとう。」
これはナニデレと言うのだろう?完璧なカウンターパンチを食らった。
取り敢えずうちのヒロイン可愛くない?
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