異世界オーベルへと召喚された管理栄養士の主人公が、栄養学の知識を活かした美味しくて栄養バランスのいい健康食で人々の心と身体を満たしていく光景が心温まりました。
異世界に召喚されるにあたって神様から好きなスキルを授けると言われ、時間停止や無限の魔力などの最強チートスキルですら選り取りみどりなのに、主人公の朝山橙也が選んだのは食材の栄養価を鑑定したり、カロリーを計算したりと、栄養士としての自分を活かすスキルで、自分が作った食事で誰かを幸せにしたいと願う、生来のお人好しぶりに好感が持てます。
橙也が訪れたサンティメールの街では、料理とは「美味しいが身体に悪いもの」か、「身体に良いが不味いもの」という両極端の考えが根付いていて、そんな偏見を払拭するために大衆食堂で働き始めるのが現在までの話ですが、これからどんな客と出会い、どんな料理を作っていくのか興味が掻き立てられます。
「異世界グルメ」という定番化しつつあるジャンルに「健康食」という切り口で挑む設定が新しい作品です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)