詩『Sweet Home』の内容について(3)

 こんにちは、月影 夏樹です。前回に引き続き、詩『Sweet Home』の内容について説明します。


『Sweet Home』


迷子になった僕の行方

遥か彼方の 旗を目印に

絡まる出会いを ほどく


テーブルに咲く 一輪のかすみ草の香り

歩き疲れた街並に 澄んだ木漏れ日落とす


頬にキスする 優しい声と愛

一欠片の言葉の中で

生まれる贈り物プレゼント


今日も安らぎ微笑む

あなたが 僕は好きだよ



言葉の奥に眠る心

重さを足すと その夢はきっと

欲張りになってしまう


夜空に染まる花びらは小さなドア求めて

誰かの幸せ写す 一つの希望となるよ


頭をそっと 撫でるこの温もり

そんな当たり前の景色は

世界の宝物


あどけない笑顔見せる

あなたが 僕は好きだよ


(3-a)

赤と白の水平線に浮かぶ

Sweet Home(Sweet World) 僕の想いを(僕の願いを)

このうたに込めて


(3-b)

頬にキスする 優しい愛と心

一欠片の言葉の中で

生まれる贈り物プレゼント


(3-d)

愛で見守ってくれる

あなたが 僕は好きだよ


 最初の(3-a)1行目「赤と白の水平線に浮かぶ」という表現についてですが、これはトム君たちと香澄ちゃんらの距離感を比喩しています。

 もう少し分かりやすく説明すると、トムと同居しているハリソン夫妻・マーガレット・ジェニファーはアメリカ人です。一方で香澄は小学校卒業と同時にアメリカへ留学している日本人で、国籍も日本です。

 これはトムの心の奥底に眠る気持ちを指しています。以前も説明しましたが、この作品ではトムの心理状態を表している文章が多いです。そしてトムと香澄は国籍こそ異なりますが、「好き」という気持ちに人種や年齢など関係ないという意味になります。

 本当の気持ちとは、“表向きは大丈夫だと言っているけど、本当はみんなに甘えたい・もっといっぱい笑いたい”というポジティブ的な印象が強いです。そんな気持ちを

 普通の家族なら素直に甘えることが出来ますが、トムの場合は特殊なケースとなります。だけどという意味を込めて、「詩に込めて」という表現方法になりました。手紙なら相手に直接言えないことでも、何故か伝えることが出来る不思議な魔法のようなものです。


 詩のタイトルにもなっている「Sweet Home」については、英単語として直訳すると「甘い家」になります。甘い家と聞くと、童話『ヘンゼルとグリーセル』を思い浮かべる人も多いでしょう。

 ですがこの詩のタイトルや登場する「Sweet Home」は別の意味になり、《《居心地の良い家や住まい》》となります。こういう意味になるので、最初は詩のタイトルを「Good Home」にしようかと思っていました。しかし自分の中で何かひっかかるものがあり、候補として残る程度となりました。

 そんな時に「Sweet Home」と書かれている、あるインテリア品に出会いました。この文字を見た瞬間、私の中で“これだ!”という言葉が脳裏をめぐりました。その結果詩のタイトルや表現方法として、この「Sweet Home」という言葉を使いました。

 ちなみに「Sweet World」という言葉の意味については、「居心地の良い世界・住まい」となります。


 次の(3-b)と(3-c)は1番・2番と内容が同じなので、この場での説明は省略します。


 (3-d)という文章については、詩の内容通りに意味をとらえても問題ございません。繰り返しの説明ですが、養子として多くの家族に囲まれているトムにとって、何気ない日常を過ごすことに幸せを感じています。

 そうした日常を描いた表現方法の1つで、(3-d)ではベッドで眠るトムへフローラがキスをする瞬間です。で、みなさんも一度は経験されたことがあるのではないでしょうか?


 (3-e)については(3-a)の「Sweet Home Sweet World」と同じ意味となります。


 以上のことを踏まえると、詩『Sweet World』の意味は下記の通りです。


             『Sweet Home(3番翻訳)』


 [数ヶ月前からハリソン夫妻の養子として、お世話になっている僕(トム)のお家に、新しい家族となる3人の女子大生がやってきました。いつも明るく元気なメグ・大人しく本が好きなジェニーたちはアメリカ人で、性格も正反対なところがよけいに面白かったです。

 そしてもう1人の香澄は日本人で、僕とは国籍や人種も違います。だけどそんなことを微塵みじんにも感じさせない雰囲気が香澄にはあり、僕はすぐに仲良くなりました。

 ニュースやメディアでについて話題になることがあるけど、人と人がつながる上においてはそんなことは大した問題じゃないと、僕は思うんだ。だって実際にアメリカ人である僕が、日本人の香澄と仲良くなれたんだから!


 だけど直接面と向かって“ありがとう、僕嬉しいよ” “みんな、大好きだよ”って言うのは恥ずかしいから、この気持ちは僕の心にしまうことにしたんだ。だけどいつかは僕の口から伝えたいから、今は詩に書き記しておきます。そして一欠片の勇気が生まれたら、その時こそ

 この心のモヤモヤ……自分でもどう表現して良いのか分からないけど、何だかとても気持ちがいいね。まるで僕がパパとママに感じていた気持ちが、そのままお姉ちゃんたちに伝えることが出来そうだよ。あぁ……僕にとって居心地の良いこの世界が、永遠とわのものになりますように……


 最近の習慣なんだけど……僕が夜寝る前になると、必ずフローラが部屋に来てくれるんだよ。そこで僕が“フローラ、お休みなさい”と言うと、“お休み、トム”と言った後に、フローラが僕の頬にキスをしてくれるんだよ! 僕のママ(ソフィー)も必ずお休みのキスをしてくれたから、フローラも僕のママみたい!


 どうかこの居心地の良い世界が、永遠とわのものになりますように……

 どうか僕のこの幸せの気持ちが、世界のみんなに届きますように……]


 これが詩『Sweet Home』という作品に込められた、意味となっています。次回は詩『命の天秤』同様に、原文と翻訳後の文章を1つにまとめた形で紹介していきます。


 少し長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

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