『命の天秤』はなぜ長編小説なのか!?(一)
こんばんは、月影 夏樹です。次の裏話の内容は、今作『命の天秤』がなぜ長編小説となったのか、その理由について少し触れていきたいと思います。
文字数については予想外となってしまいましたが、執筆当初から私は『命の天秤』を長編小説にするつもりでした。その理由は今作のテーマが「心理学」「命」「心」「人と人との交流」であることが大きく関係しています。
特に私は「命の重さ」と「揺れ動く心」を強く意識しながら、今作の執筆を行いました。その背景にあるのが、「苦悩しながら成長する女子大生」「心に傷を負った少年」の存在です。
この「苦悩しながら成長する女子大生」とは、主人公 高村 香澄ちゃんです。主に第一幕を中心に、親友や知人らに支えられながら成長する、彼女の姿が描かれています。読者さまによっては、“このストーリーはいらないのでは?”“前置きが長い”と思われた方もいるかもしれません。
ですが私が執筆をする上において、一見どうでも良いような場面をあえて描くことで、物語によりリアリティーを出せるのではないかと思っています。
少し考えてください。仮に上記のようなテーマについて、ただ淡々と進める作風で書いたと仮定します。それこそただ堅苦しいだけの、面白味のない作品に仕上がってしまうのではないでしょうか?
一方で私が本作で導入した、「前置き」「どうでも良いような場面」をスパイスとして入れることで、『命の天秤』という作品を色んな角度から見えることが出来ます。
極端な事例ですが、これをラーメンに例えてみましょう。淡々と仕上げるだけの作品を、私は何にも具がトッピングされていないラーメンに見えます。野菜やお肉などの具がないため、食べる側もすぐに飽きてしまうのではないでしょうか?
そして私があえて導入している作風を、具だくさんのラーメンだと想像してください。具が多く入っていることで、野菜やお肉などから色んなダシが出てきます。それによって本来はシンプルなラーメンという料理も、味とコクが深い料理へと変わります。
繰り返しになってしまいますが、今作の大きなメインテーマとして、香澄ちゃんの心身における成長があります。そのため文字数が数万文字という長さだと、どうしても話に重みや深さが足りなくなってしまいます。もちろん短編小説と呼ばれる数万文字前後の小説にしかない長所もあり、それを否定するつもりはまったくございません。あくまでも『命の天秤』という作品を執筆する上において、短編小説よりも長編小説が作風として適している、というだけです。
なので私は通常より文字数を長く取ることで、しっかりかつ丁寧に香澄ちゃんの成長を描くという作風を取りました。
ただカクヨムに限らず、ネット小説という媒体では、どうしても長編小説より短編小説の方が好まれる傾向があるかと思います。そのことは執筆を始める前から、重々承知していました。
ですが『命の天秤』のあとがきや近況ノートで何度も述べていますが、私は面白い作品よりも心に残る作品ということを意識して、執筆を続けてきました。その結果心から書きたい・伝えたいという作品が仕上がり、自分も満足出来る内容となりました。
またどうしてもボリュームの多い作品は苦手……という方のために、第一幕(前編)・第二幕(後編)という形に分類しました。読者様のレビューでもご紹介していただいておりますが、『命の天秤』は第二幕(後編)から読んでもまったく問題ございません。
そのため“長編小説を読むのは平気”という読者さまは第一幕(前編)から、そして“長編小説はちょっと苦手・少ない時間で作品を読みたい”という読者さまには、第二幕(後編)から楽しんでもらう、という私なりの工夫を加えてみました。
次回は「心に傷を負った少年」をテーマにしつつ、『命の天秤』という作品が長編小説になった理由について、もう少し深く掘り下げていきます。
少し長くなってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございました!
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