4話 流行に乗れない 97

少し前に流行った物語のことを思い出します。感動するだとか、名作だとか。アニメ作品ではあったのですが、普段アニメを見ないような人間にも受け入れられたそうで。私も遅れてですが、映画館に見に行きました。しかし、感動する理由はよく分かりませんでした。作品としての完成度が高いことは理解できましたし、ストーリーも悪くはないと思ったのですが、人々が熱狂的に語る理由が理解できませんでした。

私は波に乗るのが得意ではありません。昔とある人に言われたことが何年経っても抜けません。

「気持ち悪い」

と。容姿や、衛生面で何か悪いところがあったわけではないそうです。発言者の意図としては、いつも一人で何かやっている私は何を考えているか分からず、得体が知れなくて気持ち悪いということだそうです。客観的に考えた推測でしかないのですが。私は社会不適合者だと思います。人々の考えていることが理解できない。だから、受け入れてくれる世界にこだわるのです。といっても、今、選択を間違えてしまえばその世界も壊れてしまうのですが。どんな世界か、という説明は後にまわすにしても、私はその世界なしには生きていけないでしょう。完全にその世界に依存しています。「気持ち悪い」、私。そんなのは分かりきってはいるのですが、改めて認識すると少し辛いところがあります。

あと97日。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る