第10話 ~ギルドと能力~

 食堂で一時期はどうなるかと思っていたが無事にギルドにたどり着くことが出来た。

 今はギルド登録するために、登録用の受け付けに並んでいる。

 青髪はギルドに到着してクエストが貼ってあるボードの方へ駆けていった。


 登録用受け付けに並んでいるのは僕を含めて五人、僕はその最後尾だ。

 登録は以外と長いらしく全然前に進めない。


 暇な時は……

 ステータスと心で呟く。

 ――――――――――――――――――――――――

 名前 アマミネ・タイヨウ


 Lv 1


 体力 12 /12

 魔力 50/50


 経験値 0

 次のLvUPまで残り 10


 攻撃 G-

 防御 G-

 俊敏 G-

 会心 G-

 運  SSS+


 《取得スキル》

 言語解読

 色欲の加護

 無詠唱

 限界魔力

 高速詠唱


 《称号》 

 巻き込まれた一般人・異世界人

 色欲の契約者

 幸運

 激運


 《ステータス恩恵》

 金運UP

 女運UP

 勝負運UP

 自動回避率15%

 詠唱破棄

 詠唱省略

 ――――――――――――――――――――――――

 絶対いらないであろうスキルが増えてる……

 ――――――――――――――――――――――――

 色欲の加護

 能力①

 異性または同姓とスキンシップを取ることでポイントが貰えます。

 ポイントが増える毎にランダムでスキルを取得出来ます。


 今現在 610P

 スキル取得まで 400P


 能力②

 殺意を向けられた人数分だけ貰える経験値が増大する。

(条件……一分の間で50人以上の殺意を受け、それに耐える。殺意の大小は関係なし。

 適応……人間族、獣人族、魔族)


 今現在 82人 

 経験値UP 1.82倍


 能力③

 ???????(条件を満たしていません)

 ――――――――――――――――――――――――

 能力②が解放されてる。

 しかも何故かポイントも上がっている。

 ……まさかあのリンチ擬きがスキンシップとでも言うのか?

 でもそれしかないしな、まぁ良くも悪くも食堂の冒険者達のお蔭ってことか。

 能力②はかなり使えるな、82人で1.82倍、計算して一人0.01倍といった所か。


「次の方どうぞ」


 何やかんやで僕の番がまわってきたらしい。


「登録したいんだが」


「かしこまりました」


 ぶっきらぼうに言うと、受付嬢は営業スマイルを作り説明をし出す。


 ギルドでは、毎日様々なクエストが発行されている。

 一般人から国の偉いさんまでクエストを頼む人は多種多様だ。

 それをこなして報酬を獲得するのが所謂冒険者という職業だろう。

 クエストには難易度……ランクが設定してあり下から、F・E・D・C・B・A・S・SS・SSSとある。


 そして冒険者にもランクというものがあり、クエストランクと同じ表し方をしている。

 しかしSランク以上の冒険者はほとんどいないらしく、しかもSSSランクの冒険者は世界で四人しかいないらしい。


 すると受付嬢は机から真っ白なカードを取りだしてきた。


「そこに血を一滴垂らしてください」


 そう言われ渡された針で指の先を刺し、カードに血を垂らす。

 するとカードは一瞬の内に消えた。


「何処いった?」


「心の中でギルドカードと念じてみて下さい」


 言われた通り念じてみると、いつの間にか僕の右手にカードが現れた。

 真っ白だったカードには柄が入っておりFと書いてあった。


「表面には自分のランクが、裏面には自分に関する情報が書かれていると思うので確認ください」


 指示通り裏面を見てみる。


 名前 アマミネ・タイヨウ

 性別 男

 年齢 16

 出身地 ニホン

 所持金 0ミル

 クエスト状況 なし


 凄く分かりやすい。

 ただ出身地がニホンと書かれているのだけは止めて欲しかったが仕方ない。

 ミルとはお金の単位の事か……


 受付嬢に詳しく聞くと、ミルは日本とほぼ同じ紙幣価値みたいだ。

 クエスト状況は、今自分が受けているクエストが見れるらしい。

 聞くとこれ一枚で買い物出来るし身分証にもなるらしく、そして普段は消えているから無くす心配はない。

 万能過ぎる異世界カードにカルチャーショック改めてワールドショックを受ける。


「依頼はどうやって受ければ?」


「あそこにあるクエスト掲示板でクエストを選んでください。受けられるクエストは自分と同ランクか一つ上のランクとなっています」


「分かった、ランクを上げるにはどうしたら良い?」


「数々のクエストをこなして、クエストポイントが貯まれば自動的にランクは上がっていきます」


「つまりクエストをやり続けたら、このF表記がE表記になるってことか?」


「その通りです」


 本当に便利だな……

 取り敢えず登録は終わったので青髪の元へ向おうと思ったが見当たらない。

 すると、食堂で見た物とそっくりな光景が目に入る。

 デジャブ感を覚えつつ人を掻き分けながら進むと案の定いたのは青髪だった。

 相変わらず、周囲にナンパに反応を一切示さず机に座っていた。

 そして目が合う。

 またしても背筋がゾワっとした。


「終わりましたか?」


「あぁ」


「それではクエストを選びましょう」


「選んでたんじゃないのか?」


 ギルドへ入るや否や一目散に掲示板へ向かったから、てっきりクエストを選んでいるものだと思っていた。


「最初はそのつもりだったけど、やっぱり初めて・・・二人・・でする共同作業・・・・なので勝手に選ぶのは良くないかと」


「「初めて?」」「「二人?」」「「共同作業?」」


 おいこら冒険者、そこだけ抜き取るな。

 何か卑猥な事のように聞こえるから。

 てか青髪の奴わざと、その部分だけ強調して言ったな。

 ……確認っと。

 ――――――――――――――――――――――――

 色欲の加護

 能力①

 異性または同姓とスキンシップを取ることでポイントが貰えます。

 ポイントが増える毎にランダムでスキルを取得出来ます。


 今現在 620P

 スキル取得まで 380P


 能力②

 殺意を向けられた人数分だけ貰える経験値が増大する。

(条件……一分の間で50人以上の殺意を受け、それに耐える。殺意の大小は関係なし。

 適応……人間族、獣人族、魔族)


 今現在 90人 

 経験値UP 1.9倍


 能力③

 ???????(条件を満たしていません)

 ――――――――――――――――――――――――

 やっぱり上がってるな。

 これはこれで得なので良いが、もし殺された堪ったもんじゃないので止めて欲しい。


「さっさと選ぶぞ」


エスコート・・・・・してね」


「「エスコート?」」


 だから一々反応するな鬱陶しい。

 ――――――――――――――――――――――――

 今現在 100人 

 経験値UP 2.0倍

 ――――――――――――――――――――――――

 また上がった。

 もしかして狙ってやってるのか?いやいやあり得ない。

 スキルを知ってるのは僕だけだ、青髪が知っている訳がない。

 もし人のステータスを見れるスキルがあったとして知っているとしても僕にそれを言わないのは可笑しい。

 だから青髪は知らない、偶々良い方向に行っているだけだ。


 気にしない事にし掲示板に目を向ける。


 迷子の猫の捜索 F

 トリシエン家の猫の捜索。詳細は直接伝える。

 報酬 5000ミル


 ゴリゴリ草の採取 F

 フロッグ草原に生えているゴリゴリ草の採取。

 報酬 一束・300ミル


 ゴブリンの討伐 E

 リプトの森に居るゴブリンを10体討伐。

 報酬 20000ミル


 他にも色々あったが、この三枚をリストアップしてみた。

 理由は……特にない。

 捜索、採取、討伐、と受けれるクエストで種類が違うのを選んだら偶々これになっただけだ。


「採取で良いだろ」


「そうね、いきなり討伐は私達には厳しいわね」


「あぁ」


 せめて、ステータスをG-からFまで上げときたい。

 そうしなきゃ、ゴブリンでも太刀打ち出来ない気がする。

 取り敢えず当面の間は採取系のクエストをこなしつつポイントを貯めてスキルを取りステータスが上がるように筋トレでもする、だな。


「分かりました、ゴリゴリ草の採取ですね。もしクエストを途中で棄権された場合は違約金として10000ミルが発生するので気を付けてください」


 受付にいってクエストを受注する。

 違約金とかあるんだな……

 10000ミルがこの世界にとって高いのか安いのか分からないが高校生の僕にとっては一万円はデカイので絶対に棄権できない。

 まず、払える金もない。


 僕達は受付から借りた植物図鑑でゴリゴリ草の特徴を頭に入れると早速フロッグ草原へ向かう前に流石に採取といっても制服じゃ心許ないので青髪にギルドカードを借りて防具屋に寄ることにする。


 青髪は宿屋で待ってると言って帰ってしまったので一人で受付嬢に聞いた防具屋へと足を運ぶ。


 ――――――――――――――――――――――――


 数十分後僕は青髪が待つ宿屋に着く。


「早かったのね……装備は?」


「不慮の事故で買える空気じゃなかった」


「そう」


 僕は預かっていたギルドカードを青髪に返す。

 ギルドカードは任意なら他人に貸すことが出来るが、少しでも拒絶すると本人の所に戻ってくるらしい。

 やはり優れものだ。


「じゃあ行きましょ」


「あぁ」


 返事をして僕達は街の出口へと向かった。

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