第4話 襲撃

村から少し離れた場所に、キャンプを張っていた捜索隊。

そこへ、若い女が近づいている事に誰も気付かなかった。


「隊長、どうやらこの病気は頬がコケるだけでなく、生気が失われた上に喋る事が出来なくなるようです。こんな症状は今までに見たことがない。更にはどういった経緯で感染したのかも全く判りません」

捜索隊の医療団代表が言った。


やはり完全に未知なる奇病。

奇病というより、魔術のような、呪いのような恐怖があった。

この症状、どういった進行速度なのか、最終的にどうなるのか誰にも判らなかったが、そのままにしておいても、都合よく回復するようには全くみえなかった。


夜も更け、各々がテントの中でなかなか就寝出来ずにいた。

「ヤーッ」

聞き覚えのある掛け声が聞こえた。

まずい!直感的にすぐさま起きてテントを飛び出したのは隊長。

その直感力があだとなった。

テントを出たところすぐにコケシカが潜んでいたのだ。


「あっ、あーっ!」

みるみる頬がコケていく隊長。

他の隊員は隊長の最後の言葉を尻目に一目散に逃げ出した。


そこにはコケシカと、奇病に感染した隊長と昼間感染した隊員のみとなった。


頬がコケれば道に迷わないと、コケシカは言った。

──誰にも意味が判らなかった。

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