第3話 対処

とうとう捜索隊にも被害者が出てしまった。

感染してしまった原因に思い当たる節といえば……


──あの時出てきた女が怪しい。


誰もがそう思ったが、腑に落ちない部分が多々ある。

通常、空気感染なら他の隊員もかからなければおかしいし、接触感染だとすれば、一体何と接触したのかという疑問が残る。

感染ルートが判らないのは深刻な事態だ。


頬がコケて死んだ目をした隊員を隔離し、一晩様子を見た上で王国へ引き返すことにした。このまま捜索したのでは全滅の恐れがある。

ただ、王国に戻るにしても感染した隊員の対処には頭を悩ませてることとなった。


──もし、二次感染が発生したら。

治療方法、病状の進行がどういったものか判らない病気は国に持ち帰るべきではない。万一、王国内で大量感染でもしてしまった場合、近隣の諸国に攻め入られるのは誰でも容易に想像がつく。


安易かもしれないが回復しないようであれば仕方がない。

隊長は腹を決めた。

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