第52話 恋愛感情

 休職する少し前、美しい人にまだ嫌がらせを始める前のことです。

 異動で他部署からやってきた係長に、私は一目ぼれしました。あまり男性を好きにならない質でしたが、その人は私の理想が服を着て歩いているような人でした。


 そう、私の理想は服を着ていない。

 妻子のある係長。でも私はそんなことおかまいなしでアピールしていきました。そうして、男性は、美人じゃなくても、太っていても、若い女性だから好かれると、それだけで有頂天になるものだと知りました。


 私は若さの力を存分に使って、係長が理想通りか試すことができました。

 今度は私が有頂天になりました。ですがすぐに社内で私がしたことが噂になっていると知りました。

 言いふらされたのです。嫁入り前の娘のことを、言いふらす男は理想ではありません。

 私の理想は、ただの鏡像。割れて砕けて粉々になって、そのかけらで私は怪我をしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る