第51話 躁転
躁状態になったことは主治医にははっきりわかっていたと思います。ですが、カウンセリングを受けない私に対してできる治療は投薬くらいだったのでしょう。
薬が変わって、でも私は変わりませんでした。
美しい彼女への執着は、彼女を一人じめできないイライラから、憎しみへとかわっていきました。
ことあるごとにつっかかり、彼女が嫌がることを次々に実践しました。
監視して、付き纏って、嫌味を言いました。
躁状態の私は、エネルギーが尽きるまで動き続けます。もともと体力のない私では、ストーキングなど無理で、彼女に付き纏えるのは社内だけでした。
ありがたいことに、私が彼女に付き纏っても、彼女をかばってくれる人がいて、彼女への被害はだいぶ軽減されていました。
そんな状態に満足できない私は、より精力的に嫌がらせに走り、体力が尽きて動けなくなりました。
感情は躁状態なのに、鬱期のように動けない。主治医から休職を勧められ、体力がなく勤務先までたどり着けない私は他にどうすることも出来ず、長期の休養に入りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます