第50話 依存
鬱のときは人から離れよう離れようとするのですが、躁状態になると、なぜか人に擦り寄っていきます。
とくに、特別な人には恥知らずな泥棒ネコのように擦り寄ります。美しい後輩は、私が擦り寄る対象として、とても素晴らしい逸材でした。
私は彼女のためにという大義名分を振りかざして、彼女に依存していきました。
いつでも彼女の側にいないといけない、彼女の面倒を見るのが私の使命だ。彼女もそれを望んでいる。
そんな気持ちの悪いことを考えていると、当時は思いつきもしなかった。自分がなにを考えているのか、わけがわからない頭では理解できるはずもなく。
私は彼女の特別な人間でいたくて、彼女の周囲の人が彼女を愛しているふりをして騙しているのだと思い込み、なんとか彼女を守ろうと彼女に周りの人間といると幸せにはなれないと言い聞かせました。
私の言動を加速させた要因もあります。
妻子があるのに彼女をデートに誘う上司。
同棲している恋人がいる彼女を夜遅くまで引き留めて遊びにつき合わせる同僚。
彼らは私に大義名分を与え、私はますます彼女に付き纏いました。
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