第10話 肥満

 自己愛と自意識の過剰さと自信のなさと自己肯定感の低さと自分を憎むことと。

 割とありがちな否定的な精神状態の子供でした。


 三歳のころから肥満体で、小学校卒業時には身長160に対して体重が80キロ近くになっていました。

 食欲がとにかく酷く、いつもお腹が空いていて、人のものを奪ってでも食べたいと思っていました。


 小学校五年生の時です。

 放課後、友達数人で、そのうち一人の子の家に遊びに行きました。

 その子の家は裕福で、広くて、見慣れないものが色々ありました。


 その家で、私は初めてドライフルーツを見ました。

 色とりどりのドライフルーツがきれいにお皿に並べられ、ラップがかけられていました。おそらく、その家のご両親がお酒のつまみにでもされていたのでしょう。


 お腹が空いていた私は、食べてもいいかと尋ねました。友達は迷惑そうにしながらも少しならと返事をしてくれました。

 一つ食べると、止まりませんでした。お皿の上の半分も食べてしまったでしょうか。


 それに気づいた時の友達の視線。

 信じられない。

 なんてことするの。

 私の責任になるじゃない。

 そんなもろもろの感情を一気に私に伝える視線。


 私は自分の食欲が普通でないことにうっすらと気づきました。

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