第8話 SICKS
ザイエローモンキーが好きです。中毒です。
『音楽を聞く』という習慣がなかった私に降って湧いた爆弾でした。
二十代後半は、ザイエローモンキーの曲を聞かない日はなかったし、聞かないとそわそわして何も手につきませんでした。
私に宇宙語を教えてくれた彼女が、私に一枚のCDを貸してくれました。
ザイエローモンキーのSICKSでした。
どの曲も、視点がばらばらで、言葉がばらばらで、でも強い力を持っていました。
強いアルコールのような。
毒を含んだ言葉でした。
甘い甘い毒でした。
噛みしめるたびに、神経がしびれて、何も考えないようになるのに、思考は冴えて、様々なことを考える。
そんな相反する刺激に私は溺れました。
楽しい顔をした辛いことがたくさんあった時でした。
私は夜の高速道路をSICKSを垂れ流しながら涙を垂れ流しながら車を走らせる日々を続けました。
その当時は、つらいなんて気づきませんでした。
我慢していることも、わかりませんでした。
でも、それはデパスを飲まなくなってから十年ほどたった時のこと。
話は一旦、二十代前半に戻ります。
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