第7話 トモダチ

 私には友達が二人しかいません。

 むしろ、二人もいることが不思議です。


 一人は、私が中学入学した時に最初に話しかけてくれた女の子です。

 次の年からは別のクラスになりましたが(彼女は通年、特別クラスにいる勉強が出来る子でした)卒業しても私のことを覚えていてくれました。

 出会った人の誕生日を覚えていることが出来るという特技を持っていました。

 生きとし生けるものすべてを愛せるような、どんな生き物も救ってくれるような菩薩のような人です。ちなみに、涙袋がふっくらとした、顔相的に母性が強いとされる相を持っています。


 私は彼女と共にいることに救われました。そして同時に、彼女の優しさ、優秀さに、突き放されました。

 私が彼女とまともに連絡を取り合えるようになったのは三十歳を超えてからです。



 もう一人は、大学時代に私にザイエローモンキーを教えてくれた人です。

 彼女は宇宙人たちに打ちのめされて憔悴していました。宇宙語の反乱の真ん中に放り出されて、地球の空気を吸うことが出来なくなる寸前でした。


 彼女は宇宙人たちの海を泳いで、私を発見しました。地球人は、数少なく、私は彼女の浮島になりえました。

 彼女の言葉は宇宙人に毒されて、半分はわかりませんでしたが、半分は語り合うことが出来る地球語でした。

 彼女は少しずつ宇宙語に馴染んでいき、私に宇宙語のイロハを教えてくれました。

 今では、宇宙人の母として、宇宙人の赤子を育てています。

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