エピローグプロローグ
5-1 ようこそ、星空中央図書館へ
すっかり桜が満開になった、四月。
「やよいちゃん、今日が初出社かぁ」
館長代理の原田さんが、しみじみと声を出す。
「上手く馴染めてると良いですね」
「ちゃんとやってるわよ、きっと」
星空中央図書館は、無事に春を迎えた。
木々に緑が宿り、図書館へと向かう道すがら見える田畑も、新たに苗が植えられようとしている。
「色んなことが始まろうとしているんですね」
「ええ。図書館のお客さんも増えるでしょうね。幹君にも頑張ってもらうから、覚悟しておいてね」
「承知しました」
そう言って二人で少し笑った。
この図書館は不思議な場所だ。
何もかもがゆっくりで、でもしっかりと時間が流れてゆく。
その中で身を委ねながら、星と共に、少しずつ変わってゆく。
新しい季節、少し変わったこの図書館で、新たな物語は始まっていく。
これから、新しい出会いや物語が、この図書館には訪れるはずだ。
その物語の中に、自分が居られたら良いなと、心から思う。
扉が開く音がして、原田さんと目を見合わせて頷いた。
本日、初めてのお客さんだ。
今日も、本と星空と共に、ここは動いている。
「ようこそ、星空中央図書館へ」
ここが誰かの始まりの場所であって欲しいと、心からそう思う。
星空中央図書館 坂 @koma-saka
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